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遺言書を書き終えて、ほっとしたのもつかの間。『これ、どこにしまっておけばいいんだろう?』と手が止まっている方も多いはずです。
結論から言うと、自筆の遺言書なら法務局の保管制度に預けるのが手堅い選択です。これから書くなら、公正証書にして公証役場に原本を残す方法もあります。この記事では、家族のケースごとに、どこに置くと困らないかを比べます。
書いた遺言書はどこに保管すればいい?
自筆証書遺言を書いたなら、法務局の自筆証書遺言書保管制度に預けると、紛失や書き換えの心配がなく、亡くなった後の検認も要りません。手数料は1通3,900円です。自宅に置く場合は、見つけてもらえるか、誰かに隠されないかが心配になります。内容を相談しながら作りたいなら、公正証書遺言にして公証役場に原本を残す方法が向いています。
保管先ごとの違いを先に並べておきます。
| 保管先 | 費用 | 亡くなった後の検認 | 気をつけたいところ |
|---|---|---|---|
| 自宅(金庫・仏壇・引き出し) | かからない | 要る(収入印紙800円/通) | 見つからない・隠される・書き換えられるおそれ |
| 法務局(保管制度) | 1通3,900円 | 要らない | 本人が出向いて申請する・内容の相談はできない |
| 公証役場(公正証書遺言) | 財産額などで決まる | 要らない | 証人2人が要る・作り直しにも手間がかかる |

『自宅の金庫なら安全じゃない?』と思いますよね。ただ、相続の場面では「安全にしまってある」ことより、「亡くなった後に、正しい人の手に届く」ことの方が大事なんです。
子どものいない夫婦のケースは?
例えば、夫が亡くなり、妻と夫の兄弟2人が相続人になるケースです。遺言がなければ、法定相続分は妻が4分の3、兄弟が4分の1になります。
夫が「全財産を妻に相続させる」と遺言を書いていれば、兄弟には遺留分がないので、妻がすべてを受け取れます。でも、その遺言が見つからなければ、妻は兄弟と遺産分割の話し合いをすることになるんです。
| このケースで遺言書が | 結果 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 法務局に預けてあった | 妻が全部を受け取れる | 検認なしで手続きに使える |
| 自宅にあり、すぐ見つかった | 妻が全部を受け取れる | 家庭裁判所の検認を経てから手続き |
| 自宅にあったが見つからない | 兄弟と分割の話し合い | 法定相続分は妻4分の3・兄弟4分の1 |
誰が相続人になるかは、法定相続人の家族図10パターンで確認できます。
子のいない夫婦の遺言は、あるかないかで結果が大きく変わります。だからこそ、自宅のどこかではなく、見つけてもらいやすい場所に置いておきたいところです。
同居の子と別居の子がいるケースは?
例えば、母が長女と同居していて、長男は遠方に住んでいるケースです。遺言で自宅を長女に、預金を長男に残すと書いたとします。
この遺言書を自宅に置いておくと、亡くなった後に見つけるのは同居している長女です。中身に問題がなくても、長男から『書き換えたんじゃないか』『他にもあったんじゃないか』と疑われることもあります。
「お母さんの遺言、引き出しから出てきたよ」
「本当にそれだけ? 開ける前に見せてほしかったな」
こんなやりとりは避けたいですよね。法務局の保管制度に預けておけば、原本は法務局にあるので、同居の子が疑われる心配がなくなります。
自宅と預金を分ける遺言の書き方そのものは、自宅は妻、預金は子どもに分ける遺言の書き方も参考になります。
これから書き直すかもしれないケースは?
『まだ元気だし、財産も変わるかもしれない』という方もいますよね。例えば、自宅の売却や住み替えを考えている、孫が生まれたら孫にも残したい、というケースです。
遺言が2通あって内容がぶつかる部分は、新しい日付のものが優先されます。古い遺言書が自宅の引き出しに残ったまま新しいものを書くと、どちらが有効か家族が迷う原因になります。
| 書き直しの見込み | 向いている保管先 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 当分書き直さない | 法務局か公証役場 | 検認が要らず、見つけてもらいやすい |
| 数年のうちに変えそう | 法務局 | 撤回して新しいものを預け直せる |
| 内容を相談しながら変えたい | 公証役場 | 作り直すたびに証人と手数料が要る |
書き直したら、古い遺言書は自分で破棄するか撤回しておきましょう。2通が並ぶ状態を残さないことが、家族を迷わせないコツです。
法務局の保管制度はどう使う?
自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月10日に始まった仕組みです。預けた遺言書は、原本が遺言者の死亡後50年間、画像データが150年間保管されます。
手続きの流れはこうです。
- 決まった様式(用紙の大きさ・余白など)で遺言書を書く
- 預ける法務局(遺言書保管所)を決める
- 申請書を作る
- 予約を取る
- 遺言者本人が法務局へ行き、申請する
申請できるのは遺言者本人だけで、代理人や郵送では申請できません。遺言書はホチキス止めをせず、封筒にも入れずに持っていきます。
ここが大事なところですが、法務局は遺言の内容についての相談には乗ってくれません。形式の外形的なチェックはしてもらえますが、遺言が有効かどうかを保証するものではないんです。
亡くなった後に家族へ知らせてもらえる?
保管制度には「指定者通知」という仕組みがあります。遺言者が希望しておけば、亡くなったことを法務局が確認した時に、指定した人(3名まで)に遺言書が保管されていることが知らされます。
さらに、相続人の誰か1人が遺言書を閲覧したり証明書を受け取ったりすると、ほかの相続人全員にも通知が届きます。『預けたことを家族に言いそびれたら?』という心配も、これでだいぶ減りますね。
公正証書遺言の原本はどこにある?
公正証書遺言は、公証役場で公証人に作ってもらう遺言です。原本は公証役場に残り、本人の手元には写しが渡されます。
証人2人が立ち会い、亡くなった後の検認も要りません。内容を相談しながら作れるので、財産が多い、相続人の関係が複雑、という人に向いています。
手元の写しをなくしても、原本は公証役場にあるので困りません。ただし、写しの保管場所も家族か遺言執行者に伝えておくと手続きが早く進みます。執行者を誰にするかは遺言執行者は誰にすればいい?で比べています。
- 相続人の中に、遺言の内容に不満を持ちそうな人がいるか
- 遺言書を最初に見つけるのが誰になりそうか
- 内容を専門家に相談しながら作りたいか
- 書き直す予定があるか
- 保管先を誰に伝えておくか
遺言の内容に土地やアパートが含まれる、相続税がかかりそうか分からない、遺留分にかからない配分か不安。こんなケースは、遺言を預ける前に財産の評価と税額の見通しを出してもらうと、書き直しを減らせます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
法務局に預けた遺言書を書き直したい時はどうすればいいですか?
預けた遺言書は、遺言者本人が保管の申請を撤回して返してもらえます。新しい遺言書を書いて、あらためて預けることもできます。
自宅で見つかった遺言書の封を、家族が開けてもいいですか?
自宅で保管されていた自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要です。封がされている場合は、開けずに家庭裁判所へ持っていきましょう。
遺言書を貸金庫に入れておくのはどうですか?
亡くなった後、貸金庫を開けるには相続人の手続きが必要になり、遺言書を取り出すまでに時間がかかることがあります。法務局の保管制度や公正証書の方が手続きは進めやすくなります。
まとめ
- 自筆の遺言書は、法務局の保管制度に1通3,900円で預けられる
- 法務局に預けた遺言書と公正証書遺言は、亡くなった後の検認が要らない
- 自宅保管は費用がかからないが、見つからない・疑われる心配がある
- 子のいない夫婦は、遺言が見つかるかどうかで結果が大きく変わる
- 指定者通知を使えば、亡くなった後に3名まで保管を知らせてもらえる




