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実家は農家だけど、自分は会社勤めで農業を継ぐつもりはない。そんな中で親が亡くなり、『農地なんて相続しても、どうすればいいの?』と困っている方も多いはずです。
結論から言うと、農業を継がなくても農地は相続できます。ただ、農地は売るにも貸すにも農地法のルールがあり、場所によって出口がかなり違うんです。
この記事では、継がない子が農地を相続した時の選択肢と、場所ごとの売りやすさ、相続税で困りやすい点が分かります。
農業を継がないなら、農地はどうするのがいい?
選択肢は「売る」「貸す」「国に引き取ってもらう」「継ぐ兄弟に渡す」の4つです。市街化区域の農地なら、届出をして宅地などに変えて売りやすい一方、農業振興地域の農用地区域の農地は、農地のまま農業をする人に売るか貸すのが基本になります。
どれを選ぶかは、農地の場所で大きく変わります。まずは自分の農地がどこに当たるかを確かめてみてください。
| ケース(農地の場所) | 売れる? | 貸せる? | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 市街化区域の農地 | 売りやすい | 貸せる | 宅地などへの転用は農業委員会への届出で進められる |
| 市街化調整区域などの農地 | 農地のまま売るのが基本 | 貸せる | 転用には許可が要り、認められにくいこともある |
| 農業振興地域の農用地区域の農地 | 農業をする人にだけ売れる | 農地バンクなどで貸しやすい | 転用はかなり難しい |
| 生産緑地 | すぐには売りにくい | 一定の貸付けができる | 指定が続く間は農地として管理する必要がある |
『農地のまま売る』とは、買い手も農業をする人に限られるということです。売る時も貸す時も、原則として農業委員会の許可などの手続きが要ります。
自分の農地の区分は、市区町村の都市計画の担当か、農業委員会で確認できます。

継がない子が農地を相続すると、相続税はどうなる?
ここが見落とされやすいところです。農地の納税猶予は、農業を続ける人のための特例です。継がない子が農地を取得すると、原則として相続税を現金で納めることになります。
例えば、母が先に亡くなっていて、父の財産を兄弟2人で相続するケースで比べてみます。財産は農地(評価額5,000万円)と預貯金3,000万円、農業を継ぐのは弟だけとします。
| ケース | 兄(継がない)の取得 | 兄の納付額 | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 兄が農地、弟が預貯金を取得 | 農地5,000万円 | 293万7,500円 | 現金を相続しないのに、税金は現金で払う |
| 兄が預貯金、弟が農地を取得 | 預貯金3,000万円 | 176万2,500円 | 相続した預貯金から払える |
どちらのケースも、相続税の総額は470万円です(課税価格8,000万円・基礎控除4,200万円)。2つ目のケースで弟が要件を満たせば、弟の分は納税猶予の対象になりえます。
『公平に分けたつもりが、税金が払えない』という形になりがちなんです。農地を取得するなら、納税資金をどうするかまで一緒に考えておきましょう。
納税猶予の条件は、農地を相続して農業を続ける時の納税猶予の条件で詳しく見られます。
相続した農地を売る・貸す時の手順は?
農地を相続したら、まず農業委員会への届出があります。相続で農地を取得したことを知らせる手続きで、許可は要りません。期限は農業委員会で確認しておきましょう。
- 相続登記をする(取得を知った日から3年以内)
- 農業委員会に、相続で農地を取得したことを届け出る
- 農地の区分(市街化区域か、農用地区域か)を確かめる
- 売るなら農業委員会の許可か届出、貸すなら農地バンク(農地中間管理機構)や近くの農家に相談する
- 売った場合は、翌年に譲渡所得の確定申告をする
貸す場合によく使われるのが、都道府県ごとにある農地中間管理機構(農地バンク)です。農地を借りたい担い手との間に入ってくれるので、自分で借り手を探す手間が減ります。
『貸したら、もう返ってこないのでは?』と心配になりますよね。貸す期間や条件は契約で決めるので、将来使う予定があるなら、最初に相談の窓口で伝えておきましょう。
相続した農地を、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ると、取得費加算の特例の対象になります。売ることが決まっているなら、時期も意識しておきたいところです。
例えば、親戚との間でこんな話になることがあります。
「近所の農家さんが、あの田んぼを借りたいって言ってたよ」
「口約束じゃなくて、ちゃんと手続きをしてから貸した方がいいよね」
知り合いに貸す場合も、手続きをせずに耕してもらうのは後でトラブルの元です。農業委員会に相談してから進めてみてください。
売れない・貸せない農地はどうする?
山あいの田畑など、買い手も借り手も見つからない農地もありますよね。そんな時の出口も知っておくと安心です。
| ケース | 選べる方法 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 相続する前(3か月以内) | 相続放棄 | 農地だけでなく、預貯金など全部の財産を受け取れなくなる |
| 相続した後、使い道がない | 相続土地国庫帰属制度 | 審査手数料は1筆14,000円、承認後に負担金(原則20万円、農地の一部は面積で算定) |
| 継ぐ兄弟や親族がいる | 遺産分割で兄弟が取得する | 代わりに預貯金を多めにもらうなどで調整 |
相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。『農地だけ放棄したい』はできないので、他の財産とのバランスで判断しましょう。
相続放棄をすると、次の順位の人が相続人になります。例えば、子全員が放棄すると、亡くなった人の父母や兄弟姉妹に話が回ることもあるので、親族にも一言伝えておくと揉めにくくなります。
国庫帰属制度は、建物がある土地や担保権のある土地は申請できません。審査にも時間がかかるので、早めに法務局に相談しておくと進めやすくなります。
専門家に頼んだ方がいいのはどんなケース?
農地は、相続税・農地法・登記の3つが絡みます。どれも窓口が違うので、1人で全部を調べるのは大変ですよね。
農地と自宅・預貯金を合わせて基礎控除を超えそう、兄弟の一方だけが農業を続ける、市街化区域の農地で売却を考えている、というケースは税理士に頼むと楽です。誰がどの財産を取得すれば税金と現金のバランスが取れるかを、遺産分割の前に一緒に考えてもらえます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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個人で農業を営んでいた親の事業の引き継ぎ全体は、個人事業主の親が亡くなった時の手続きと期限の一覧で確認できます。
よくある質問
農業を継がなくても、農地を相続すること自体はできますか?
できます。相続で農地を取得する時は農地法の許可は要らず、農業委員会への届出で済みます。ただ、その後に売ったり貸したりする時は手続きが要ります。
農地を宅地にして家を建てることはできますか?
農地の場所によります。市街化区域なら届出で転用できますが、それ以外は許可が要り、農用地区域では難しいことが多いです。まずは農業委員会に相談してみてください。
相続した農地を放置するとどうなりますか?
固定資産税は毎年かかり、草刈りなどの管理も必要です。耕作されていない農地は農業委員会から利用の意向を聞かれることもあるので、早めに売る・貸すなどの方針を決めておきましょう。
まとめ
- 農業を継がなくても農地は相続でき、農業委員会への届出が必要
- 市街化区域の農地は転用して売りやすく、農用地区域の農地は農業をする人に売るか貸すのが基本
- 継がない子が農地を取得すると納税猶予は使えず、相続税を現金で払うことになる
- 農地5,000万円・預貯金3,000万円を兄弟で分けると、継がない兄の納付額は取得するもので293万7,500円か176万2,500円に分かれる
- 売れない農地は国庫帰属制度、相続前なら相続放棄も選択肢




