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家族が亡くなって、何から手を付ければいいのか分からない。そんな状態でこのページを開いた方も多いはずです。
結論から言うと、相続は亡くなったその瞬間に自動で始まり、あとは「期限の早いもの」から順に片付けていけば大丈夫です。この記事では、よくある家族のケースごとに、亡くなった日から遺産を分け終えるまでの流れを時系列で追っていきます。
相続って、いつ・何が始まるもの?
相続は、亡くなった日に手続きをしなくても自動で始まります。亡くなった人の預金・家・借金はその時点で相続人のものになり、誰が何を受け取るかを決めるまでは相続人全員で持っている状態です。まず動くのは死亡届(7日以内)で、相続をやめるかどうかの判断は3か月以内、相続税の申告は10か月以内です。
『相続って、何か申し込みをして始まるものじゃないの?』と思いますよね。実は違うんです。
遺産相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産と借金を、残された家族がまとめて引き継ぐことです。プラスの財産だけでなく、借金やローンも一緒に引き継ぐのが大事なところです。
誰が相続人になるかは民法で決まっています。配偶者は常に相続人で、そこに子、子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹が加わります。
例えば、夫が亡くなって妻と子2人が残った家なら、相続人は妻と子2人の3人です。子のいない夫婦で夫が亡くなり、夫の親がすでに亡くなっていれば、妻と夫の兄弟姉妹が相続人になります。
自分の家族がどの形に当たるかは、相続のパターンの見分け方で確認しておくと迷いません。
亡くなった日から10か月まで、何がいつ来るの?
相続の手続きには、法律で期限が決まっているものがいくつかあります。まずは全体の順番を表で見ておきましょう。
| 時期の目安 | 起きること・やること | 期限の決まり |
|---|---|---|
| 亡くなった日 | 相続が始まる | 手続き不要で自動 |
| 7日以内 | 死亡届を出す | 死亡を知った日から7日以内 |
| 10日〜14日以内 | 年金の受給停止、健康保険の資格喪失、世帯主変更 | 厚生年金は10日、国民年金・国保は14日 |
| 3か月以内 | 相続するか、放棄するかを決める | 相続の開始を知った時から3か月 |
| 4か月以内 | 亡くなった人の所得税の申告(準確定申告) | 知った日の翌日から4か月 |
| 10か月以内 | 相続税の申告と納付(かかる場合) | 知った日の翌日から10か月 |
| 3年以内 | 家や土地の相続登記 | 取得を知った日から3年 |

全部の家にすべてが当てはまるわけではありません。年金をもらっていなかった人なら年金の手続きは要りませんし、相続税がかからない家なら申告も要りません。
では、家族の形や財産によって、流れがどう変わるのかを見てみます。
| ケース | 3か月以内の判断 | 10か月以内の相続税 | 注意しておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 夫が亡くなり、妻と子2人。自宅と預金で5,000万円 | 借金がなければ通常どおり相続 | 税額が出るので申告が要る | 妻の分は配偶者の税額軽減で0円でも申告は必要 |
| 親が亡くなり、子2人だけ。財産8,000万円 | 通常どおり相続 | 税額が出るので申告が要る | 配偶者の軽減が無いので、税額がそのまま出る |
| 親が亡くなり、子2人。預金中心で3,000万円 | 通常どおり相続 | 基礎控除以下なので申告は不要 | 銀行・登記の手続きは必要 |
| 親が亡くなったが、借金が多そう | 放棄や限定承認を検討する | 放棄すれば相続人ではなくなる | 財産を使うと放棄できなくなることがある |
同じ「相続」でも、10か月以内にやることの量がかなり違いますよね。この差を生むのが、家族構成と財産の額なんです。
最初の2週間は、何から手を付ければいい?
亡くなってすぐは、葬儀の準備と役所への届け出が重なります。気持ちが追いつかない時期ですが、期限が短いものだけは押さえておきましょう。
- 医師から死亡診断書を受け取り、死亡を知った日から7日以内に死亡届を出す
- 年金を受け取っていた人なら、年金の受給停止の手続きをする(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)
- 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失の届け出をする(14日以内)
- 亡くなった人が世帯主で、残る家族が2人以上なら世帯主変更届を出す(14日以内)
- 葬儀の領収書をまとめて保管しておく(相続税の計算で葬式費用を差し引けるため)
5番目は見落としやすいところです。葬式費用は相続税の計算で遺産から引けます。
ただ、香典返しや四十九日の法要の費用、墓石の購入費は葬式費用に入りません。領収書を分けておくと、あとで楽になります。
『年金って、止めたら損するんじゃないの?』と心配する方もいます。亡くなった後の分まで受け取ると返すことになるので、早めに止めておくのが安心です。
亡くなった人がまだ受け取っていなかった年金は、「未支給年金」として家族が請求できます。時効は5年です。
3か月以内に「誰が相続人で、遺産はいくらか」を見ておく理由
ここが大事なところです。3か月以内に、相続するか放棄するかを決める必要があります。
放棄するなら、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。期限を過ぎると、借金も含めて相続したことになってしまうんです。
そのためには、次の2つを早めにつかんでおく必要があります。
- 相続人は誰か(戸籍をたどって、前の結婚の子や養子がいないかも確認)
- プラスの財産はどれくらいか(預金・自宅・株・保険など)
- 借金やローン、保証人になっていないか
- 遺言書があるか(自宅・法務局・公証役場)
戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました。昔は本籍地ごとに取り寄せていたので、だいぶ楽になっています。
集めた戸籍は、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」にしてもらえます。無料で交付され、銀行や登記の手続きで戸籍の束の代わりに使えます。
例えば、こんなやりとりはよくあります。
「父の口座を解約したいんですが」「では、出生から亡くなるまでの戸籍をお持ちください」
銀行が複数あると、毎回これを求められます。一覧図の写しを何枚かもらっておくと、窓口を回る時間がかなり減ります。
財産を一覧にする時は、家系図と財産を1枚にまとめると全体が見えやすくなります。作り方は相続の全体図の作り方で紹介しています。
わが家は相続税がかかる?かからない?
『うちは普通の家だから、相続税なんて関係ないよね』と思っている方は多いはずです。
実際、国税庁によると令和5年分で相続税の課税対象になった人は、亡くなった人のうち9.9%でした。ただ、自宅の土地が都市部にあったり、預金がまとまってあったりすると、対象になることもあります。
分かれ目は基礎控除です。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、遺産がこれ以下なら相続税はかかりません。
| 法定相続人の数 | 基礎控除 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
人数ごとの詳しい早見表は基礎控除の人数別ケースにまとめています。
ここからは、先ほどのケースで実際に計算してみます。数字は、遺産を法定相続分どおりに分けた場合です。
計算例1: 夫が亡くなり、妻と子2人で5,000万円を相続
法定相続分は、妻が2分の1、子が4分の1ずつです。
| 計算の段階 | 金額 |
|---|---|
| 課税価格の合計 | 5,000万円 |
| 基礎控除(相続人3人) | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 200万円 |
| 法定相続分で分けた額 | 妻100万円・子50万円ずつ |
| 相続税の総額 | 20万円 |
| 各人の納付額 | 妻0円・子5万円ずつ |

妻の分は、配偶者の税額軽減で0円になります。ただし、この軽減は申告しないと受けられません。税額0円でも、10か月以内の申告が要るケースです。
計算例2: 親が亡くなり、子2人で8,000万円を相続
配偶者がすでに亡くなっていて、子2人だけが相続するケースです。
| 計算の段階 | 金額 |
|---|---|
| 課税価格の合計 | 8,000万円 |
| 基礎控除(相続人2人) | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 3,800万円 |
| 法定相続分で分けた額 | 子1,900万円ずつ |
| 相続税の総額 | 470万円 |
| 各人の納付額 | 子235万円ずつ |
配偶者がいないと税額軽減が使えず、相続人の数も1人少ないので基礎控除も下がります。2人で合わせて470万円を、10か月以内に原則現金で納めることになります。

2つのケースを並べると
| ケース | 相続税の総額 | 納付額の合計 | 申告 |
|---|---|---|---|
| 妻と子2人・5,000万円 | 20万円 | 10万円 | 必要 |
| 子2人・8,000万円 | 470万円 | 470万円 | 必要 |
| 妻と子2人・3,000万円 | 0円 | 0円 | 不要(基礎控除以下) |
同じ子2人の家でも、配偶者がいるかと財産の額で、納める税金が大きく変わるのが分かりますよね。
自宅の土地がある家では、小規模宅地等の特例で土地の評価を下げられることがあります。ただ、これも申告しないと使えません。要件を満たすかどうかは税理士に確認しておきましょう。
計算例1のように「税額は0円に近いけれど申告は要る」家や、計算例2のように納める額が大きい家は、早めに専門家に相談すると楽です。土地の評価や特例の判断は、慣れていないと時間がかかるところだからです。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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遺産の分け方は、どうやって決めるの?
相続税の計算とは別に、「誰が何を受け取るか」を決める必要があります。決め方は、遺言書があるかどうかで変わります。
| ケース | 分け方 | 注意 |
|---|---|---|
| 遺言書がある | 原則として遺言書のとおり | 自筆の遺言は家庭裁判所の検認が要る(法務局保管のものは不要) |
| 遺言書がない | 相続人全員で話し合う(遺産分割協議) | 1人でも反対すると決まらない |
| 話し合いがまとまらない | 家庭裁判所の調停、それでもだめなら審判 | 時間がかかる |
『話し合いって、いつまでにしないといけないの?』という疑問もよく聞きます。遺産分割そのものに法律上の期限はありません。
ただ、2023年4月1日に始まったルールで、亡くなってから10年を過ぎると、生前にもらったお金や介護の貢献を主張できなくなりました。原則として法定相続分で分けることになります。
それに、相続税がかかる家では10か月の申告期限があります。話し合いが終わらない時は、いったん法定相続分で申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておく方法があります。分け方が決まった後に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受け直せます。
例えば、こんな会話になる家も少なくありません。
「お母さんが家に住み続けるなら、家はお母さんでいいよね」「預金はどう分ける?」
家族会議で話す順番を決めておくと、感情的になりにくいです。
生活費などで急ぎのお金が要る時は、預貯金の仮払い制度があります。1つの金融機関ごとに「亡くなった時の預金額×3分の1×その人の法定相続分」、上限150万円までは1人で払い戻せます。
家や土地がある家で忘れやすいことは?
自宅や土地を相続した家は、相続登記を忘れないでおきましょう。2024年4月1日から相続登記は義務になりました。
取得を知った日から3年以内に登記が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前の相続も対象です。
| ケース | やること | 期限 |
|---|---|---|
| 家を妻が1人で相続 | 妻の名義に登記 | 取得を知った日から3年以内 |
| 兄弟で家を共有 | 共有名義で登記 | 同上 |
| 分け方が決まらない | 相続人申告登記で義務を果たす | 期限内に申し出 |
登記の費用には、登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)がかかります。誰がいつ登記するかの具体的な手順は、相続登記のケース別の手順で確認できます。
相続した家を誰も使わない場合は、売るか、持ち続けるかも考えることになります。空き家を売った時の3,000万円特別控除など、相続ならではの特例もあるので、売る前に条件を確かめておきましょう。
相続にかかる期間はどれくらい?ケース別の目安
最後に、手続きが一段落するまでの流れを、ケースごとにまとめておきます。期間は家ごとに違うので、ここでは「どこで時間がかかりやすいか」を見てください。
| ケース | 時間がかかりやすいところ | 区切りの目安 |
|---|---|---|
| 相続税がかからず、相続人が少ない | 銀行の解約、登記 | 銀行と登記が終われば一段落 |
| 相続税がかかる | 財産の評価、申告書の作成 | 10か月以内の申告・納付 |
| 相続人が多い、疎遠な相続人がいる | 戸籍集め、話し合い | 全員の合意が取れた時点 |
| 借金があるかもしれない | 財産と借金の調査 | 3か月以内の放棄の判断 |
『全部を自分でやるのは無理かも…』と感じたら、それは自然なことです。相続税の申告は税理士、登記は司法書士、もめた時の交渉は弁護士が担当します。
全部を任せなくても、計算や評価のところだけ相談する方法もあります。まずは自分の家がどのケースに当たるかを知ることから始めてみてください。
よくある質問
相続の手続きは、亡くなってすぐに始めないといけませんか?
相続そのものは自動で始まるので、申し込みは要りません。ただ、死亡届は7日以内、相続放棄は3か月以内、相続税の申告は10か月以内と期限があるものは、期限の早い順に進めておきましょう。
遺産が基礎控除以下なら、何もしなくていいですか?
相続税の申告は不要です。ただ、銀行口座の解約や名義変更、不動産の相続登記は別に必要です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って0円になる場合は申告が要るので注意してください。
借金があるかもしれない時はどうすればいいですか?
相続の開始を知った時から3か月以内に、家庭裁判所で相続放棄か限定承認をするか判断します。調べる時間が足りない時は、期間の伸長を申し立てることもできます。財産を使ったり処分したりすると放棄できなくなることがあるので、判断がつくまでは手を付けないでおきましょう。
相続人の中に連絡がつかない人がいると、どうなりますか?
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なので、その人を除いて決めることはできません。相続税がかかる家では、期限内にいったん法定相続分で申告し、分割見込書を出しておく方法があります。
相続税の申告は自分でもできますか?
自分で申告することもできます。2019年10月からはe-Taxでも申告できます。ただ、土地の評価や特例の判断は手間がかかるので、土地がある家や相続人が多い家は税理士に相談すると安心です。
まとめ
- 相続は亡くなった瞬間に自動で始まり、借金も含めて相続人が引き継ぐ
- 期限は、死亡届7日、年金10日〜14日、放棄3か月、準確定申告4か月、相続税10か月、登記3年
- 妻と子2人で5,000万円なら納付額は合計10万円、子2人だけで8,000万円なら470万円(法定相続分どおりの場合)
- 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で0円になっても、申告は必要
- 遺産の分け方は遺言書があればそのとおり、なければ相続人全員の話し合いで決める




