相続の相談はまず誰に聞く?状況別に決める最初の相談先の選び方

相続で最初に誰に相談するかを状況別に紹介する記事のアイキャッチ

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葬儀が終わってひと息ついたころ、『で、相続って最初に誰に聞けばいいの?』と立ち止まる方は多いはずです。専門家の名前は知っていても、どこから声をかけるかで迷いますよね。

結論から言うと、最初の相談先は「最も早く来る期限」で決めるのがコツです。借金があれば3か月、相続税がかかれば10か月。状況ごとに、最初に話を聞く相手を見ていきます。

目次

相続で最初に相談するのは誰?期限の早い悩みから決めます

このケースの結論

親が亡くなり、財産も借金もよく分からない段階なら、最初は市区町村の無料相談か、相続を扱う税理士への初回相談で「相続税がかかりそうか」「借金の心配はあるか」を確かめるのが近道です。督促状が届いているなど借金が先に見えているケースは、3か月の期限があるので弁護士が最初の相談先になります。

相続の手続きは、期限の短い物から順に並んでいます。どれを先に片づけるかで、最初の相談先が変わるんです。

期限手続き関わる相談先
7日以内死亡届市区町村の窓口
10日・14日以内年金の受給停止(厚生年金10日、国民年金14日)年金事務所
3か月以内相続放棄・限定承認家庭裁判所、弁護士
4か月以内準確定申告(亡くなった人の所得税)税理士、税務署
10か月以内相続税の申告・納付税理士
3年以内相続登記司法書士

この表を見ると、最初の数か月で気にするのは「借金」と「税金」だと分かります。登記は3年あるので、あとから司法書士に頼んでも間に合うケースがほとんどです。

状況ごとの最初の相談先を、もう少し具体的に並べてみます。

状況最初の相談先理由・注意
亡くなった直後で、財産も借金もよく分からない市区町村の無料相談、税理士の初回相談まず相続税がかかりそうか、借金の心配があるかを見てもらう
土地や預金が多く、相続税がかかりそう税理士申告期限は10か月。土地の評価に時間がかかる
督促状が届いた、借金がありそう弁護士相続放棄は知った時から3か月以内
自筆の遺言書が見つかった家庭裁判所(検認)法務局で保管された物でなければ、開ける前に検認の手続きを
実家の名義だけ変えたい司法書士相続登記は取得を知った日から3年以内
兄弟と分け方で意見が合わない弁護士交渉や調停で代理できるのは弁護士
亡くなった直後・相続税がかかりそう・督促状が届いた・遺言書が見つかったなど、状況ごとに最初の相談先を分けたケース別の分岐表

悩みの種類ごとの窓口の全体像は、相続の相談先は悩みで変わるで紹介しています。

亡くなった直後で、何から手をつければいいか分からない

葬儀の手配が終わったばかりで、通帳がどこにあるかも分からない。そんな段階で専門家に相談していいのか、ためらう方もいますよね。

実は、この段階こそ無料の窓口が役に立ちます。市区町村の無料相談では、税理士や弁護士が交代で話を聞いてくれます。

「何も分かっていないのに、相談していいのかな」
「分からないことを聞きに行く場所だから、大丈夫だよ」

最初の相談で聞いておきたいのは、次の3つです。

  • この家族構成だと、相続税の基礎控除はいくらになるか
  • 借金を調べるには、どこに何を問い合わせればいいか
  • 急いで手をつけるべき期限はどれか

もう1つ、亡くなった人に毎年の確定申告が必要な収入があった場合は、準確定申告にも気を配りたいところです。相続の開始を知った日の翌日から4か月以内なので、相続税より先に期限が来ます。年金のほかに家賃収入や事業の収入があった親なら、最初の相談で税理士に伝えておきましょう。

死亡届や年金の受給停止、健康保険の資格喪失届は、期限が短いものの役所の窓口で済む手続きです。専門家への相談は、これらと並行して進めて大丈夫です。

預金をおろしたい時は、相談の前に確認を

葬儀代や当面の生活費のために、亡くなった親の預金をおろしたいという方もいますよね。銀行は亡くなったことを知ると口座を止めるので、自由には引き出せなくなります。

こんな時に使えるのが、預貯金の仮払い制度です。1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額×1/3×その相続人の法定相続分」まで、上限150万円で、ほかの相続人の同意なしに払い戻しを受けられます。

例えば、ある銀行の預金が900万円で、相続人が子3人なら、1人が受け取れるのは900万円×1/3×1/3=100万円までです。

ただし、借金がありそうな家は要注意。遺産を使ったと見られると、相続放棄ができなくなることがあります。借金の心配がある時は、預金に手をつける前に弁護士に相談しておきましょう。

相続税がかかるか分からないなら、最初は税理士へ

最初の相談先を決める分かれ道は、相続税がかかるかどうかです。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。この金額を財産が超えるかで、税理士への相談の急ぎ具合が変わります。

ここで、家族の形が違う2つのケースを計算してみます。

計算例1:子3人が遺産6,000万円を相続するケース

例えば、母が亡くなり(父は先に他界)、子3人が相続する家で、課税価格の合計が6,000万円だったとします。法定相続分どおり3等分した場合です。

計算の段階金額
課税価格の合計6,000万円
基礎控除(相続人3人)4,800万円
課税遺産総額1,200万円
相続税の総額120万円
子1人あたりの納付税額40万円
家族全体の納付税額120万円
子3人が遺産6,000万円を相続する家の相続税を、課税価格から各人の納付額まで段組みで並べた計算シート

配偶者がいないので、配偶者の税額軽減は使えません。基礎控除を1,200万円超えただけでも、家族全体で120万円の納付になります。

計算例2:妻と夫の兄弟2人が遺産6,000万円を相続するケース

子のいない夫婦で夫が亡くなり、夫の両親もすでに他界しているケースです。相続人は妻と夫の兄弟2人になり、法定相続分は妻3/4、兄弟が残りを等分します。

計算の段階金額
課税価格の合計6,000万円
基礎控除(相続人3人)4,800万円
課税遺産総額1,200万円
相続税の総額120万円
妻の納付税額(配偶者の税額軽減)0円
兄弟1人あたりの納付税額(2割加算)18万円
家族全体の納付税額36万円

兄弟姉妹は、相続税が2割増しになる「2割加算」の対象です。同じ6,000万円でも、誰が相続するかで納付額がこれだけ変わるんです。

ケース結論最初の相談先
遺産4,000万円、妻と子2人基礎控除4,800万円以下で相続税0円・申告不要無料相談で十分なことが多い。名義変更は司法書士
遺産6,000万円、子3人家族全体で120万円税理士。配偶者の税額軽減が使えない
遺産6,000万円、妻と夫の兄弟2人家族全体で36万円税理士。妻は申告して0円、兄弟は2割加算

死亡保険金があると、結論が変わることも

同じ「子3人・財産6,000万円」の家でも、そのうち1,500万円が子が受け取った死亡保険金だったら話が変わります。生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるからです。

相続人が3人なら非課税枠は1,500万円。保険金の全額が非課税になり、課税価格の合計は4,500万円になります。基礎控除の4,800万円を下回るので、相続税はかかりません。

『財産が基礎控除を超えたから、うちは税金がかかる』と早合点しないことが大事です。保険金や借入金、葬式費用を差し引くと、結論が変わる家も多いんです。

注意したいのは、特例を使って0円になる家です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、申告して初めて使えます。『0円だから何もしなくていい』と思い込むと、特例が使えなくなることもあるので気をつけましょう。

土地がある、相続人が兄弟姉妹や甥姪まで広がる、財産の全体がまだ見えない。こうしたケースは、最初から税理士に財産の洗い出しごと任せると、10か月の期限に追われずに済みます。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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税理士に頼むかどうか迷う時は、相続税は税理士に頼む?自分でやる?の判定表も参考にしてみてください。

遺言書が見つかった、実家の名義だけ変えたい時は?

遺言書が出てきたら、まず種類を確かめます。自筆の遺言書は、家庭裁判所で検認を受けてから使います。

ただし、法務局の保管制度で預けられていた自筆の遺言書と、公証役場で作った公正証書遺言は検認がいりません。

遺言書の種類最初にやること理由・注意
自宅などで見つかった自筆の遺言書家庭裁判所に検認を申し立てる検認の手数料は収入印紙800円(1通)
法務局に保管されていた自筆の遺言書そのまま手続きに使える検認は不要
公正証書遺言そのまま手続きに使える検認は不要

遺言の内容に納得がいかない時は、弁護士が最初の相談先です。兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があり、相続の開始と侵害を知った時から1年で請求できなくなります。

実家の名義だけ変えたい、という場合は司法書士へ。相続登記は2024年4月1日から義務になり、取得を知った日から3年以内に登記します。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。

依頼するかどうかの目安は相続で司法書士に頼むのはどんな時?を見てみてください。

督促状が届いた、兄弟ともめそうな時は弁護士が先

亡くなった親宛てに督促状が届いた時は、何よりも期限が気になりますよね。相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。

『とりあえず少しだけ返しておこうかな』と思っても、ちょっと待ってください。遺産からお金を払ったり、財産を処分したりすると、相続を認めたとみなされて放棄できなくなることがあるんです。

弁護士に相談すれば、放棄したほうがいいのか、限定承認を考えるべきかを一緒に見てもらえます。調べる時間が足りない時は、家庭裁判所に期間を延ばしてもらう申立てもできます。

放棄しても、受取人として指定されていた死亡保険金は受け取れます。ただし、放棄した人は生命保険金の非課税枠を使えない点は知っておきましょう。

もう1つ大事なのが、放棄すると次の順位の親族が相続人になることです。子が全員放棄すれば親の父母、父母もいなければ親の兄弟姉妹へと借金の話が移っていきます。親族に一言伝えておくと、後でトラブルになりにくくなります。

兄弟ともめそうな時も、こじれる前に弁護士へ。

「長男なんだから、家は自分がもらうのが当然だろ」
「介護してきたのは私なのに、それはおかしい」

こんなやり取りが始まったら、当事者だけで話すほど溝が深まりがちです。どんな時に弁護士が必要かは相続で弁護士が必要なのはどんな時?でケース別に見ています。

最初の相談で何を聞く?持っていく物は?

相談の時間を無駄にしないために、持っていく物をそろえておきましょう。全部そろっていなくても大丈夫です。

最初の相談に持っていく物
  • 家族の関係が分かるメモ(手書きの家系図でもよい)
  • 預金通帳、固定資産税の通知書、保険証券など財産が分かる物
  • 督促状や借入れの明細など、借金が分かる物
  • 遺言書の有無と、その種類
  • 亡くなった日のメモ

聞いておきたいのは、「この家の場合、相続税はかかりそうか」「最も急ぐ期限は何か」「誰に頼むと手間が少ないか」の3つです。

最初の相談相手を選ぶ時に見ておきたいこと

最初に会う専門家が、その後もずっと付き合う相手になることも多いです。税理士なら、相続税の申告の実績があるかを聞いてみてください。

ほかにも、土地の評価の経験、見積もりの分かりやすさ、話しやすさは確かめておきたいところ。『この人なら何でも聞ける』と思えるかどうかも、立派な判断材料です。

税理士に頼んだ場合の費用は、遺産総額の0.5〜1%程度が目安と言われることが多いです。遺産規模ごとの考え方は相続の税理士費用はいくら?で紹介しています。

よくある質問

最初の相談は、税理士と弁護士のどちらに行けばいい?

借金や兄弟のもめごとが先に見えているなら弁護士、相続税がかかりそうなら税理士です。どちらも見えていない段階なら、市区町村の無料相談で状況を話してみてください。

銀行や信託銀行に相続の相談をしてもいい?

手続きの案内は受けられます。ただし相続税の申告は税理士、登記は司法書士の仕事なので、実際の手続きはそれぞれの専門家につながる形になります。

相続税がかかるかどうかは、自分で判断できる?

財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで、おおよそは分かります。土地の評価や保険金の非課税枠で金額が変わるので、迷ったら税理士に確認しましょう。

最初の相談で依頼まで決めないといけない?

その場で決める必要はありません。見積もりをもらい、家族と話してから依頼するかを決めて大丈夫です。

相談した専門家に、そのまま全部頼まないといけない?

そんなことはありません。税金は税理士、登記は司法書士と、それぞれ別の専門家に頼んでもかまいません。紹介し合える専門家どうしでつながっている事務所もあるので、相談の時に聞いてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 最初の相談先は、最も早く来る期限で決める
  • 借金があれば3か月以内の相続放棄があるので弁護士が先
  • 相続税がかかりそうなら10か月の申告期限に向けて税理士へ
  • 子3人で遺産6,000万円なら家族全体で120万円、妻と夫の兄弟2人なら36万円
  • 何も分からない段階なら、市区町村の無料相談から始める
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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