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親が長年続けてきた食堂やお店。急に亡くなって、『明日から店を開けていいの?』『閉めるなら何から?』と頭が真っ白になりますよね。
結論から言うと、親が個人で営業許可を取っていた店なら、相続人が許可を引き継いで続けることができます。その場合は、引き継いだことを保健所の窓口に届け出ます。閉める場合は、借りている店舗の契約や仕入れ先の精算が中心になります。
この記事では、店を継ぐか閉めるか、店舗が借りものか自分の物かのケースごとに、やることの違いを見ていきます。
個人で営んでいた飲食店の親が亡くなったら?
例えば、父が個人で営業許可を取り、借りた店舗で定食屋を営んでいたケースです。子が店を継ぐなら、相続人全員の同意で継ぐ人を決め、その人が許可を引き継いだことを保健所の窓口に届け出ます。店舗の賃貸借契約も相続されるので、家主に連絡して契約者の変更や今後の家賃を話し合います。
食品衛生法では、営業許可を受けた人が亡くなり、相続人が営業を引き継いだ時は、その相続人が許可を受けた人の立場を受け継ぐと定めています。相続人が2人以上なら、全員の同意で引き継ぐ1人を選びます。
引き継いだ人は、遅れずにその事実を届け出ることになっています。届出の書類や窓口は、店のある地域の保健所で確認してみてください。
| ケース | 営業許可 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 個人の店を子が継ぐ | 子が許可を引き継ぐ | 全員の同意で継ぐ人を決め、届け出る |
| 個人の店を閉める | 引き継がない | 廃業の届出を保健所と税務署に |
| 会社(法人)として営んでいた | 許可は会社のもの | 代表者の変更などの手続きになる |

店を継ぐ場合にやること
『とりあえず営業を続けて、手続きはあとで』と考える方も多いはずです。ただ、許可・税金・契約の3つは早めに名義をそろえておくと後が楽です。
- 相続人全員の同意で、店を継ぐ人を決めたか
- 保健所に、営業許可を引き継いだ届出をしたか
- 食品衛生責任者を置いているか(継ぐ人が資格を持っていなければ手配する)
- 店舗の家主に連絡し、契約者の変更を相談したか
- 税務署に、事業を始めた届出を出したか
- 仕入れ先・リース会社・電気ガスの契約者を変更したか
「父の味を守りたいけど、ほかの兄弟は納得してくれるかな」
「店の設備や在庫も遺産だから、分け方も話しておこう」
こんな会話から始まる家族も多いです。厨房設備や仕入れた食材、お客さんへの売掛金も、亡くなった人の財産として相続の対象になります。
継ぐ人がそれらを受け取るなら、ほかの相続人とのバランスを預金などで調整する話し合いになることもあるんです。
店の借入があると相続税はどう変わる?
例えば、母はすでに亡く、父の財産が預金・店の設備・在庫・売掛金で合わせて5,000万円、子2人が相続するケースです。店の借入や未払いの仕入れ代金が1,000万円あるかどうかで、結論が変わります。
| ケース | 課税価格 | 基礎控除(相続人2人) | 相続税の合計 |
|---|---|---|---|
| 店の借入・未払い代金なし | 5,000万円 | 4,200万円 | 80万円(1人40万円) |
| 借入・未払い代金が1,000万円 | 4,000万円 | 4,200万円 | 0円 |
借入を差し引いて基礎控除以下になれば、相続税はかからず申告も要りません。『借金の分は引いていいの?』と迷う方もいますが、亡くなった時点で残っていた借入や未払い代金は差し引けます。
ただ、通帳や請求書が店のあちこちに散らばっていると、借入の漏れや財産の漏れが起きがちです。帳簿と通帳をそろえて、1年分の入出金を見直しておきましょう。
税務署への届出と準確定申告
亡くなった親の事業については、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を準確定申告します。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
継ぐ人は自分の事業として、個人事業の開業・廃業等届出書などを税務署に出します。提出時期は国税庁の案内で確認しておきましょう。届出や青色申告の引き継ぎは個人事業主の親が亡くなった時の手続きと期限の一覧にまとめています。
店を閉める場合にやること
継ぐ人がいない時は、店を閉めることになります。『閉めるだけなら簡単でしょ?』と思いがちですが、実はお金の精算が多いんです。
- 常連さんや取引先に休業を知らせる
- 仕入れ先・リース会社に連絡し、未払い代金や残りの契約を確かめる
- 家主に解約を申し入れ、原状回復と預けた保証金の扱いを話し合う
- 保健所に廃業の届出、税務署に廃業の届出を出す
- 厨房設備や備品を売るか処分するかを決める
未払いの仕入れ代金や借入金は、相続税の計算で差し引けます。逆に、家主に預けていた保証金は返ってくるお金なので、財産に含まれます。
借金が財産より多い時は、相続放棄も考えられます。期限は相続の開始を知った時から3か月以内です。
ここが大事なところです。放棄を考えているなら、設備を売ったり在庫を使ったりするのは控えておきましょう。財産を処分すると、単純承認とみなされて放棄できなくなることがあります。
店舗が借りものか、自分の物かで変わること
店舗の土地と建物を親が持っていたか、借りていたかで、相続の中身がかなり変わります。
| ケース | 相続するもの | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 店舗を借りていた | 賃借人としての立場と保証金 | 家賃を払う義務も引き継ぐ |
| 店舗兼自宅を親が持っていた | 土地と建物そのもの | 店部分と住まい部分で特例が分かれる |
| 店舗の土地を親が持ち、子が店を継ぐ | 事業用の土地 | 特定事業用宅地等として400㎡まで80%減額の対象になりうる |
親の土地で子が店を続ける場合、小規模宅地等の特例で評価が大きく下がることがあります。ただ、申告期限まで事業を続けるなどの要件があり、適用には申告が必要です。要件を満たすかは税理士に確認してみてください。
店舗兼自宅のように、事業用と住まい用が1つの土地にあるケースは、それぞれの部分ごとに考えます。特定居住用宅地等(330㎡まで80%減額)と特定事業用宅地等は併用でき、合わせて最大730㎡までです。
親と離れて暮らしていて、店の片付けに通うのが大変な時は、遠く離れて住む子が相続手続きを進める工夫も参考にしてみてください。工場など設備の多い事業のケースは町工場を営んでいた親の相続で見られます。
店舗の土地を親が持っている・設備や在庫の評価が要る・継ぐ人と継がない人の調整が必要。こんなケースは、事業の相続に慣れた税理士に相談すると、特例の判断と申告をまとめて任せられます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
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よくある質問
親の飲食店の営業許可は、子がそのまま引き継げますか?
親が個人で許可を取っていた店なら、相続人が許可を受けた人の立場を引き継げます。相続人が複数なら全員の同意で継ぐ人を決め、その人が保健所の窓口に届け出ます。
借りていた店舗の契約は、親が亡くなると終わりますか?
終わりません。賃借人としての立場は相続されるので、家賃を払う義務も引き継ぎます。続けるか解約するかを家主と話し合っておきましょう。
飲食店を閉める場合、厨房設備はすぐ売ってもいいですか?
相続放棄を考えているなら、売るのは控えておきましょう。財産を処分すると単純承認とみなされ、放棄できなくなることがあります。
まとめ
- 個人の飲食店は、相続人が営業許可を引き継いで続けられる。継ぐ人は届出をする
- 相続人が複数なら、全員の同意で店を継ぐ1人を決める
- 借りていた店舗の契約は相続される。家賃の支払い義務も引き継ぐ
- 設備・在庫・売掛金・保証金は財産、未払い代金や借入は差し引ける
- 親の土地で子が店を続けるなら、特定事業用宅地等の特例を確認する




