家族全員で相続放棄する時の手続きの順番と1人あたりの費用の目安

家族全員で相続放棄する時の順番と費用を確認する記事のアイキャッチ

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父に借金があり、家族で話し合って「みんなで相続放棄しよう」と決めた。でも、誰からどう手続きすればいいのか分からない。『全員まとめて1回で終わるんじゃないの?』と思う方も多いですよね。

結論から言うと、家族全員の放棄は1回では終わりません。妻と子が放棄すると、次に親、その次に兄弟姉妹へと順番に相続人が移り、それぞれが自分で申述する形になります。

この記事では、家族構成ごとに放棄の順番と、1人あたりにかかる費用を見ていきます。

目次

家族全員で相続放棄、わが家は何人が手続きする?

このケースではこうなる

例えば、父が亡くなり、妻と子2人が相続人で、父の両親はすでに亡く、父の兄弟が2人いるケースです。まず妻と子2人の3人が放棄し、次に父の兄弟2人が放棄して、ようやく全員の放棄になります。手続きする人は合計5人、収入印紙は1人800円なので印紙代だけで4,000円です。

相続人には順位があります。配偶者は常に相続人で、第1順位が子、第2順位が親などの直系尊属、第3順位が兄弟姉妹です。

先の順位の人が全員放棄すると、初めから相続人でなかったことになり、次の順位の人が相続人になります。だから「家族全員」の範囲は、思っているより広いんです。

ケース放棄する人印紙代の合計
妻と子2人・父の親は他界・父の兄弟2人妻・子2人、次に兄弟2人の5人4,000円
妻と子1人・父の母が健在・兄弟なし妻・子、次に父の母の3人2,400円
子2人だけ(妻は他界)・親も兄弟もいない子2人だけ1,600円
家族構成ごとに、第1順位から第3順位まで誰が順番に相続放棄するかと、放棄する人数を示した家系図の図

子が放棄しても、その子ども(孫)に相続は移りません。放棄した人は初めから相続人でなかったことになるからです。

放棄の順番と、それぞれの期限

『順番に放棄するなら、期限はいつまで?』と気になりますよね。実は、期限は人ごとに別々に数えます。

期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。次の順位の人は、前の順位の人が全員放棄して、自分が相続人になったと知った時から3か月です。

家族全員で放棄する時の順番
  1. 妻と子が、それぞれ家庭裁判所に放棄を申述する
  2. 受理されたら、受理の通知を次の順位の家族に伝える
  3. 親などの直系尊属が健在なら、その人が放棄を申述する
  4. 直系尊属がいない、または全員放棄したら、兄弟姉妹が申述する
  5. 兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子(甥姪)が申述する

申述先は、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所です。同じ順位の人は、同じ時期にまとめて出しておくと、次の順位へのバトンが早く渡ります。

「お母さんと私たちは出したよ」
「叔父さんたちにも、受理されたら連絡しないとね」

こんなふうに、前の順位の家族から一言伝えておくと、次の人が慌てずに済みます。

『叔父たちとはほとんど付き合いがないのに』と気が重い方もいますよね。ただ、放棄が受理されたことを伝えないままだと、叔父たちは借金の存在も知らずに期限を迎えるかもしれません。

手紙で伝える時は、亡くなった日、自分たちが放棄したこと、借金のおおよその状況を書いておくと、相手も判断しやすくなります。

次の順位の家族に知らせないとどうなる?

次の順位の人は、自分が相続人になったことを知らないままのことがあります。ある日、債権者から突然連絡が来て驚く、というケースも。

知った時から3か月なので、すぐに期限切れになるわけではありません。ただ、疎遠な親戚にも事情を伝えておくと、余計なトラブルを避けやすくなります。

1人あたりの費用はいくら?

ここが大事なところです。家庭裁判所に払う費用そのものは、多くありません。

費用金額注意
収入印紙申述人1人につき800円全員分が必要
連絡用の郵便切手裁判所ごとに異なる申述先の家庭裁判所で確かめる
戸籍謄本などの取得費通数で変わる順位が後ろの人ほど集める戸籍が増える

戸籍の量は、順位が後ろになるほど増えます。兄弟姉妹が放棄する時は、亡くなった人の親の出生から死亡までの戸籍なども集めることになるからです。

同じ家族の中で戸籍を共有できる場合もあります。前の順位の家族が使った戸籍を融通できないか、申述先の家庭裁判所に確かめてみてください。

2024年3月1日からは、戸籍証明書の広域交付が始まりました。本籍地以外の市区町村の窓口でも、本人・配偶者・父母・子などの戸籍をまとめて請求できます。郵送や代理人による請求はできない点に気を付けておきましょう。

「印紙代だけなら、思ったより安いね」
「戸籍集めのほうが手間がかかりそうだよ」

費用の中で一番読みにくいのは、戸籍の取得費と郵送のやりとりです。遠方の家族が多いほど、時間もかかります。

専門家に頼む場合は、別に報酬がかかります。順番に何人も放棄するケースでは、まとめて頼むかどうかも家族で話しておくと安心です。

全員が放棄した後、家や財産はどうなる?

『全員が放棄したら、実家はどうなるの?』という声もよく聞きます。

全員が放棄して相続人がいなくなると、利害関係のある人の申立てで、家庭裁判所が相続財産清算人を選ぶことがあります。清算人が財産をお金に換えて、借金の返済などに充てる形です。

放棄しても残る役目に注意

亡くなった人と同居していた家族は、放棄しても安心しきれません。2023年4月1日の改正で、現に占有している財産は、相続人や清算人に引き渡すまで保存する義務があるとされました。

例えば、父と同居していた子が放棄したケースです。家を手放す立場になっても、引き渡すまでは家を傷めないように管理する役目が残ります。

また、放棄を考えている間に財産を処分したり使ったりすると、単純承認とみなされて放棄できなくなることがあります。家財の片付けや預金の引き出しは、放棄が受理されるまで控えておきましょう。

放棄しても受け取れるもの

父が掛けていた生命保険金は、受取人の固有の財産なので、放棄しても受け取れます。ただし、生命保険金の非課税枠は使えません。

遺族年金や未支給年金は、相続財産ではなく遺族が受け取るものです。放棄とは別に請求できるので、日本年金機構の窓口で確かめてみてください。

借金があるかどうか、まだはっきりしないなら、全員で放棄する前に借金と財産のどちらが多いか分からない時の判断フローを見ておくと安心です。

財産のほうが多そうで、相続税がかかるかもしれない。そんなケースは、放棄するかどうかを決める前に、財産の評価と税額を税理士に見てもらうと判断材料がそろいます。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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放棄以外の道は相続したくない時、放棄以外に方法はあるかでまとめています。

よくある質問

家族全員で相続放棄する時、1回の手続きで全員分を出せますか?

同じ順位の人はまとめて出せますが、次の順位の人は前の順位が全員放棄した後で相続人になるので、別に申述します。順番に手続きが続くと考えておきましょう。

相続放棄の費用は全員でいくらかかりますか?

収入印紙は申述人1人につき800円です。5人が放棄するなら印紙代は4,000円になります。このほか、郵便切手と戸籍の取得費がかかります。

子が全員放棄したら、孫が相続人になりますか?

なりません。放棄した人は初めから相続人でなかったことになるので、その子に相続は移らず、次の順位の親や兄弟姉妹が相続人になります。

まとめ

この記事の要点
  • 家族全員の放棄は1回で終わらず、妻と子、親、兄弟姉妹の順に申述が続く
  • 期限は人ごとに、自分が相続人になったと知った時から3か月
  • 費用は1人につき収入印紙800円と郵便切手、戸籍の取得費
  • 全員が放棄すると、相続財産清算人が選ばれることがある
  • 同居していた人は、引き渡すまで財産を保存する役目が残る
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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