特定財産承継遺言とは?「相続させる」遺言の正式な呼び方

「相続させる」遺言の正式名である特定財産承継遺言の意味と登記の注意点を解説する記事のアイキャッチ

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銀行や法務局で「特定財産承継遺言ですね」と言われて、『そんな遺言、うちの親は書いていないはず』と戸惑っていませんか。

結論から言うと、「〇〇を長男に相続させる」と書いた遺言の正式な呼び方が特定財産承継遺言です。この記事では、どんな遺言がこれにあたり、受け取った人が何をすればいいのかをケースで見ていきます。

目次

「自宅を長男に相続させる」と書いてあったら?

このケースの結論

相続人のひとりに特定の財産を引き継がせる遺言を、民法1014条2項で「特定財産承継遺言」と呼びます。遺産分割をしなくても、その財産は長男が引き継ぎます。ただ、法定相続分を超える部分は、登記をしておかないと第三者に権利を主張できません。

条文では「遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言」と書かれています。長いですよね。かみくだくと「この財産はこの相続人に」と決めた遺言のことなんです。

ポイントは、相手が相続人であること。相続人でない人に財産を渡す時は「遺贈する」と書くので、特定財産承継遺言にはあたりません。

ケース遺言の書き方特定財産承継遺言?注意
自宅の土地建物を長男に相続させるあたる早めに相続登記を
A銀行の預金の全部を妻に相続させるあたる遺言執行者は払戻しも解約もできる
A銀行の預金のうち500万円を次男に相続させるあたる遺言執行者ができるのは払戻しまで
自宅を相続人でない孫に遺贈するあたらない遺贈として扱う
遺言の書き方と渡す相手によって、特定財産承継遺言にあたるかどうかが分かれる4つのケースの分岐表

登記をしないと、何が困る?

『遺言があるんだから、名義はそのままでも大丈夫でしょ?』と思う方も多いはずです。実は、ここに落とし穴があります。

民法899条の2では、遺言で受け取った場合でも、法定相続分を超える部分は登記がなければ第三者に対抗できないとされています。

例えば、母が亡くなり、子2人が相続人のケース。遺言で長男が自宅を全部相続したのに、次男が法定相続分の2分の1を自分名義で登記し、それを第三者に売ってしまったとします。長男が登記をしていなければ、その2分の1は取り戻せないことがあるんです。

ケース長男の取り分法定相続分登記がないと主張できない部分
子2人、自宅を長男に全部全部2分の1残りの2分の1
妻と子1人、自宅を妻に全部全部2分の1残りの2分の1

「遺言があっても、負けることがあるんですか?」
「法定相続分を超える部分は、先に登記した第三者が優先されることがあるんです。だから受け取ったら早めに名義を変えておきましょう」

相続登記は、取得を知った日から3年以内の義務でもあります。特定財産承継遺言なら、受け取った相続人が単独で申請でき、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。

遺言執行者は何をしてくれる?

ここが大事なところです。遺言執行者がいれば、受け取る相続人のために登記などの手続きを進められます(民法1014条2項)。

預貯金の場合は、さらに払戻しや解約の申入れもできます(同条3項)。ただし解約ができるのは、その口座の預金の全部が遺言の対象になっている時だけです。

例えば、父が「A銀行の預金の全部を妻に相続させる」と書き、長女を遺言執行者に指定していたケース。長女が銀行で口座を解約し、妻に渡す手続きまで進められます。妻が高齢で銀行に何度も通うのが大変な時は、とても助かりますよね。

一方、遺言執行者が指定されていない場合は、受け取る相続人が自分で手続きします。銀行によって必要な書類が違うので、先に窓口へ問い合わせてみてください。

受け取った相続人がやること
  • 遺言書の内容と、自分が受け取る財産を確かめる
  • 自筆証書遺言なら、家庭裁判所の検認を受ける(法務局保管分は不要)
  • 不動産は早めに相続登記をする
  • 預金は銀行に遺言書を出して手続きする
  • 遺言執行者がいれば、手続きを任せられるか相談する

遺言執行者の役割は遺言執行者の任務で、文言の選び方は「相続させる」と「遺贈する」の使い分けで詳しく見られます。

遺産に不動産があり、遺言で取り分が偏っている、遺産全体が基礎控除を超えそう。こんなケースでは、名義変更と相続税の申告を同じ流れで進めると楽です。申告は税理士に、登記は司法書士に確認を。

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よくある質問

特定財産承継遺言で受け取った財産は、遺産分割協議が必要ですか?

原則として必要ありません。その財産は遺言で指定された相続人が引き継ぎます。ほかの財産は、残りの相続人で協議します。

特定財産承継遺言でも遺留分は請求されますか?

されることがあります。ほかの相続人の遺留分を侵害していれば、金銭で請求される可能性があります。

受け取った相続人が先に亡くなっていたらどうなりますか?

その部分の遺言は原則として効力を生じません。予備的遺言で次の受け取り手を決めておくと備えられます。

まとめ

この記事の要点
  • 「〇〇を相続人に相続させる」遺言の正式名が特定財産承継遺言
  • 遺産分割をしなくても、指定された相続人が引き継ぐ
  • 法定相続分を超える部分は、登記がないと第三者に主張できない
  • 遺言執行者は登記手続きや預金の払戻しを進められ、全部が対象なら解約もできる
  • 相続登記は3年以内の義務で、登録免許税は0.4%
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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