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個人で美容室を経営していた親が亡くなり、予約のお客さんやスタッフのことが頭をよぎる。『このまま店を続けられるの?』と迷いますよね。
結論から言うと、相続人が店を継ぐなら、保健所に地位承継の届出をして続けられます。閉める場合は廃止の届出をします。継ぐか閉めるかで、相続税も変わってくるんです。
親が経営していた美容室は、そのまま続けられる?
美容師法には、相続で美容所の開設者の地位を引き継ぐための規定があります(第12条の2)。相続人が店を継ぐなら、保健所に地位承継の届出を出して営業を続けられます。店の土地が親の物なら、継いで申告期限まで続けることで小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)が使える可能性もあります。
届出の名前や様式は、都道府県や市区町村ごとに案内があります。例えば千葉県では美容所開設者承継届として受け付けています。
店の今後は、家族の状況でいくつかに分かれます。
| ケース | 結論 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 美容師の子が継いで、同じ店で続ける | 保健所に地位承継の届出 | 相続人が複数なら、継ぐ人を全員の同意で決める |
| 子は美容師ではないが、店は残したい | 保健所に相談 | 施術するのは美容師免許を持つ人。店の基準を満たし続けられるか確認 |
| 相続人以外のスタッフに店を任せたい | 保健所に相談 | 相続による承継とは別の手続きになることがある |
| 誰も継がず閉める | 保健所に廃止の届出 | 税務署には亡くなった親の個人事業の廃業届を出す |

「お母さんの店、私が継ぎたいけど、手続きってどこに出すの?」
「お店の所在地を担当する保健所だよ。税務署にも別に届出が要るからね」
美容所の地位承継の届出では何を出す?
届出は遅滞なく、店の所在地を担当する保健所に出します。必要な書類は自治体ごとに少しずつ違うので、出す前に電話で確認しておくと安心です。
- 保健所に連絡し、地位承継の届出の様式と添付書類を確認する
- 親の死亡と相続人全員が分かる戸籍、または法定相続情報一覧図の写しを用意する
- 相続人が複数なら、継ぐ人を選んだことへの全員の同意書をそろえる
- 保健所に届出を出す
- 税務署に、継いだ人の個人事業の開業の届出などを出す
戸籍の束の代わりに、法定相続情報一覧図の写しを使える自治体もあります。法務局で無料で交付され、銀行や相続登記にも使い回せるので、早めに作っておくと便利です。
『同意書くらい、後で兄弟にもらえばいいか』と思いがちですよね。実は、店を誰が継ぐかは遺産の分け方にも関わります。店の機材や内装、在庫も相続財産なので、遺産分割の話し合いと一緒に決めておきましょう。
店舗を借りていた場合は、賃貸の契約も相続人に引き継がれます。続けるか解約するかを、家主と話しておくことも忘れずに。事業の手続き全体の期限は個人事業主の親が亡くなった時の手続きと期限の一覧で確認できます。
店の土地があると、相続税はどうなる?
ここが大事なところです。店の土地が親の名義なら、継ぐか閉めるかで相続税が大きく変わることがあります。
小規模宅地等の特例の特定事業用宅地等は、400㎡までの部分を80%減額できる制度です。ただし、親の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、申告期限まで続けて、土地も持ち続けることが要件です。
例えば、母が先に亡くなっていて、子2人が父の遺産8,000万円を相続するケース。そのうち店の土地の評価が3,000万円(400㎡以内)だったとします。
| 計算の段階 | 店を閉める(特例なし) | 子が継いで続ける(特例あり) |
|---|---|---|
| 店の土地の評価 | 3,000万円 | 600万円(80%減額) |
| 課税価格の合計 | 8,000万円 | 5,600万円 |
| 基礎控除(相続人2人) | 4,200万円 | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 3,800万円 | 1,400万円 |
| 相続税の総額 | 470万円 | 140万円 |
同じ遺産でも、継いで続けると相続税の総額は470万円から140万円になります。『とりあえず閉めて、落ち着いてから考えよう』と決める前に、この差は知っておきたいところです。
注意したいのは、相続の前3年以内に新しく事業に使い始めた土地です。この場合は原則として特例の対象外になります。親が持っていた土地の上の建物や事業用の設備の価額が、その土地の価額の15%以上あれば対象になる例外もあるので、国税庁のタックスアンサー(小規模宅地等の特例)で確認してみてください。
店の土地がある、兄弟の1人が継いでほかは継がない、申告期限まで続けられるか分からない。こうしたケースは、特例を使えるかの判断と分け方の調整を税理士に頼むと進めやすくなります。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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設備の多い事業を継ぐ場合の注意点は、コインランドリーなど設備投資型の事業を相続した時の注意点も参考にしてみてください。
よくある質問
美容師免許のない子でも、美容室を相続できる?
店の財産は免許がなくても相続できます。ただし施術するのは美容師免許を持つ人なので、営業を続けられるかは保健所に確認してみてください。
地位承継の届出をしないまま営業を続けてもいい?
届出は遅滞なく出すことになっています。営業を続けるなら、相続の手続きと並行して早めに保健所へ連絡しておきましょう。
店を閉めても、店の土地に特例は使える?
特定事業用宅地等は、事業を引き継いで申告期限まで続けることが要件なので、閉める場合は使えません。自宅の土地など別の特例が使えるかは、要件を満たすか税理士に確認を。
まとめ
- 相続人が美容室を継ぐなら、保健所に地位承継の届出をして続けられる
- 相続人が複数なら、継ぐ人を全員の同意で決めて同意書を添える
- 閉める場合は保健所に廃止の届出、税務署に廃業届を出す
- 店の土地3,000万円を含む遺産8,000万円・子2人なら、閉めると470万円、継ぐと140万円
- 相続前3年以内に事業に使い始めた土地は、特例の対象外になることがある




