当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
親と同じ家で長く暮らしてきた。親が亡くなった後も、この家に住み続けたい。そう考えるのは自然なことですよね。
結論から言うと、同居していた子に家を優先して相続する権利が法律で決まっているわけではありません。ただ、税金の面では、同居していた子が家の土地を相続すると大きく有利になる場合があるんです。
この記事では、同じ実家を誰が相続するかで、相続税がどう変わるかを計算していきます。
同居していた子は、家を優先して相続できる?
例えば、父はすでに亡くなり、母が亡くなって長男と次男が相続するケースです。長男は母と同居、次男は自分の持ち家に住んでいます。法律上の取り分は2人とも1/2で、同居していたからといって長男が家を優先して受け取れるわけではありません。家を長男が相続するには、兄弟の話し合いでの合意か、母の遺言が必要です。
遺産の分け方は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます。同居していた長男が「この家に住み続けたい」と希望し、次男が合意すれば、その形で分けられます。
『ずっと一緒に暮らして面倒を見てきたのに、半分ずつなの?』と思いますよね。同居して介護をしていた場合は、寄与分として考えてもらえる可能性もあります。詳しくは介護してきた子の寄与分を見てみてください。
例えば、こんな話し合いになることもあります。
「家は兄さんが住むんだから、その分ほかの財産は僕が多めでいいよね」
「それで構わないよ。住み続けられるなら助かる」
家の価値が大きく、預貯金が少ない家では、長男が家を取る代わりに次男へお金を払う「代償分割」という分け方もよく使われます。
誰が家を相続するかで、相続税はどう変わる?
ここが同居の大きな有利です。母が住んでいた家の土地を、同居していた子が相続して住み続けると、小規模宅地等の特例で土地の評価を330㎡まで80%減らせる場合があります。
例えば、実家の土地の評価が4,000万円(面積は200㎡)、預貯金などが3,000万円、合計7,000万円のケースで比べます。
| ケース | 課税価格の合計 | 相続税の合計 | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 同居の長男が土地を相続し、申告期限まで住み続けて持ち続ける | 3,800万円(土地は800万円で計算) | 0円 | 基礎控除4,200万円以下。ただし特例を使うので申告は必要 |
| 持ち家に住む次男が土地を相続 | 7,000万円 | 320万円 | 次男は同居も「家なき子」の要件も満たさず特例が使えない |
| 同居の長男が相続したが、申告期限前に売った・引っ越した | 7,000万円 | 320万円 | 申告期限まで住み続け、持ち続ける要件を満たさない |

2つ目のケースで、次男が土地(4,000万円)、長男が預貯金(3,000万円)を受け取ると、相続税320万円のうち次男が182万8,500円、長男が137万1,400円を納めることになります。
同じ家、同じ財産なのに、誰が受け取るかで320万円の差が出るんです。
兄弟で家の取り方を話し合う時は、この税金の差も一緒に伝えてみてください。「同居の長男が家を取ったほうが、兄弟みんなの手元に残るお金が増える」と分かれば、合意しやすくなることがあります。
同居の子が特例を使うための条件は?
国税庁の説明では、同居していた親族が特例を使うには、相続開始の直前から申告期限まで引き続きその家に住み、その土地を申告期限まで持ち続けることが必要です(国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)。
例えば、こんな会話は要注意です。
「どうせ住まないし、申告の前に売っちゃおうか」
「待って、それだと特例が使えなくなるかもしれない」
また、母に配偶者がいなくて同居の相続人もいない場合は、持ち家のない別居の子(いわゆる家なき子)が使える場合もあります。どの要件を満たすかは、税理士に確認を。
特例を使って0円になる時も申告は必要で、期限は母が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。実家の土地がある・兄弟で家の取り方の意見が分かれている・代償分割を考えている、という場合は、土地の評価と特例の判定を専門家に任せると安心です。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
相続人が一人っ子の場合の目安は一人っ子で両親とも亡くなった時の相続税で計算しています。
よくある質問
同居していた子が家を相続できるよう、親が準備できることはありますか?
遺言で「自宅は同居の長男に」と書いておく方法があります。ほかの兄弟には遺留分があるので、預貯金の分け方とあわせて考えておくと話がこじれにくくなります。
同居していれば、特例は無条件で使えますか?
いいえ。相続開始の直前から申告期限まで住み続け、土地を持ち続けることなどの要件があり、申告も必要です。
二世帯住宅で暮らしていた場合も同居になりますか?
建物の登記の仕方などで扱いが変わることがあります。要件を満たすかは税理士に確認を。
まとめ
- 同居していた子に、家を優先して相続する法律上の権利はない
- 家の分け方は兄弟の話し合いか遺言で決まり、代償分割という方法もある
- 同居の子が土地を相続して住み続けると、小規模宅地等の特例で330㎡まで80%減額できる場合がある
- 例では、誰が実家を相続するかで相続税が0円と320万円に分かれた





