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相続放棄申述書を書いていて、「放棄の理由」の欄で手が止まった。『関わりたくないから、なんて正直に書いていいの?』と迷いますよね。
結論から言うと、用意された番号から当てはまるものに丸を付け、どれも合わない時だけ「その他」に短く事実を書けば大丈夫です。この記事では、理由のパターンごとに丸を付ける番号と、その他欄の書き方を見ていきます。
「関わりたくない」が理由でも放棄できる?
疎遠で関わりたくない、という理由でも相続放棄の申述はできます。申述書では「6 その他」に丸を付け、「長年交流がなく、相続に関わる意思がないため」のように事実だけを書けば足ります。相手を責める言葉や細かい事情まで書く必要はありません。
『こんな理由で裁判所に出していいのかな』と不安になる方も多いはずです。
実は、理由欄は裁判所があなたの事情をつかむための欄なんです。家庭裁判所が主に確かめるのは、期限内の申述か、本人が自分の意思で放棄するのか、といった点です。
例えば、何十年も会っていない父が亡くなり、子の自分に連絡が来たケース。借金があるかどうかも分からず、とにかく関わりたくない。こういう時も、理由を飾らずに書いて出せます。
| ケース | 丸を付ける番号 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 亡くなった親に借金が多い | 5 債務超過のため | 借金の額が分からなくても、多いと分かっていれば選べる |
| 長年疎遠で関わりたくない | 6 その他(文例は下で紹介) | 感情ではなく「交流がない」という事実で書く |
| 自分は生活に困っていない | 2 生活が安定している | 他の家族に財産を回したい時によく選ばれる |
| 家業や実家を兄に継がせたい | 4 遺産を分散させたくない | 2と一緒に丸を付けてもよい |
| 生前に住宅資金などをもらった | 1 被相続人から生前に贈与を受けている | もらった額まで書く必要はない |
| 遺産がわずかで手続きが負担 | 3 遺産が少ない | 借金の有無が不明なら、5かその他も検討 |

当てはまる番号が2つある時は、両方に丸を付けて構いません。迷ったら、主な理由1つに絞るのも手です。
申述書の理由欄は、どんな作りになっている?
申述書の2枚目に「申述の理由」という枠があります。ここは上下2段に分かれていて、上が「相続の開始を知った日」、下が「放棄の理由」です。
家庭裁判所の書式では、それぞれ次の選択肢が並んでいます(裁判所の相続放棄の申述書 書式と記入例)。
| 欄 | 選択肢 |
|---|---|
| 相続の開始を知った日 | 1 被相続人死亡の当日 / 2 死亡の通知をうけた日 / 3 先順位者の相続放棄を知った日 / 4 その他 |
| 放棄の理由 | 1 被相続人から生前に贈与を受けている / 2 生活が安定している / 3 遺産が少ない / 4 遺産を分散させたくない / 5 債務超過のため / 6 その他 |
ここで見落としやすいのが、上の段の「知った日」です。疎遠だった親の場合、亡くなった日と、亡くなったと知った日がずれることがありますよね。
例えば、亡くなってから2か月後に役所の通知で知ったなら、「2 死亡の通知をうけた日」に丸を付け、その日付を書きます。放棄の期限である3か月は、自分のために相続が始まったと知った時から数えるからです。
親が先に放棄して、叔父や叔母の相続が回ってきたケースなら「3 先順位者の相続放棄を知った日」です。誰がいつ放棄したかを知った日を書いておきましょう。
「その他」欄はどう書く?ケース別の文例
「6 その他」を選んだら、かっこの中に具体的な理由を書きます。長い文章は要りません。1〜2行で、事実だけを書くのがコツです。
ケースごとの文例を並べておきますね。そのまま使っても、自分の言葉に直しても大丈夫です。
疎遠で関わりたくない場合
「被相続人とは長年交流がなく、生活状況も財産の内容も分からないため、相続に関わる意思がない。」
『関わりたくない』という気持ちは、そのまま書くより「交流がない」「財産が分からない」と事実に置き換えると落ち着いた文になります。
親と絶縁していた場合
「被相続人とは長年にわたり連絡を絶っており、相続に関与することを望まないため。」
絶縁の理由や、相手への不満までは書かなくて大丈夫です。書くほど裁判所から確認されることも増えるので、事実の一行で止めておきましょう。
兄弟の一人に任せたい場合
「被相続人と同居し介護をしてきた兄に、遺産を引き継いでもらいたいため。」
この場合は「4 遺産を分散させたくない」に丸を付けるだけでも足ります。その他欄は、補足したい時に使えば十分です。
借金があるか分からない場合
「被相続人に借入れがあったと聞いており、財産より負債が多い可能性があるため。」
借金がはっきりしているなら「5 債務超過のため」で足ります。
書かないほうがいいこと
- 他の相続人の悪口や、家族の争いの細かな経緯
- 「財産はもらったが放棄する」など事実と合わない内容
- 他の人に頼まれて仕方なく、という書き方(本人の意思かを疑われやすい)
兄弟から「放棄してほしい」と頼まれたケースもありますよね。それでも最後に決めたのが自分なら、「自分の生活が安定しているため」など、自分の言葉で理由を書いておきましょう。
出す前に確かめておきたいことは?
理由欄が書けたら、申述書を出す前にいくつか確かめておきます。ここが大事なところです。理由がどうであれ、次の点でつまずくと放棄が認められないことがあるからです。
- 知った日から3か月以内か(間に合わなければ期間を延ばす申立てができる)
- 亡くなった人の預金を使ったり、物を売ったりしていないか
- 収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手を用意したか
- 提出先は、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所か
- 自分が放棄すると、次の順位の親族が相続人になると分かっているか
財産を使ったり処分したりすると、相続したもの(単純承認)とみなされて放棄できなくなることがあります。疎遠な親の家に入って、形見を持ち帰るのも控えておきましょう。
申述書の他の欄の書き方は、相続放棄申述書のケース別記入例でまとめています。
出したあと、裁判所から質問の書面が届くこともあります。届いた時の答え方は、相続放棄の照会書への回答例を見てみてください。
自分が放棄したら、他の家族はどうなる?
放棄すると、初めから相続人でなかったことになります。子が全員放棄すれば、亡くなった人の親、親がいなければ兄弟姉妹へと相続が移ります。
「次は叔父さんのところに話が行くよ」
「何も聞いてないけど、どうすればいいの?」
こんなふうに、知らないうちに相続人になった親族が困ることも。放棄を決めたら、次に相続人になる人へ一言伝えておくと親切です。面識の少ない相手への伝え方は、面識がない相続人への通知の文例が参考になります。
一方で、自分は放棄して、残る家族が財産を相続するケースもありますよね。相続税の基礎控除の計算では、放棄した人も法定相続人の数に入ります。
遺産に土地や自宅がある、預金が多くて基礎控除を超えそう、申告期限の10か月が近い。こうした家族が残るなら、相続税に詳しい税理士に一度相談しておくと、その後の手続きが楽になります。
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よくある質問
放棄の理由によって、申述が認められないことはありますか?
理由の内容そのものより、期限内か、本人の意思か、財産を処分していないかといった点が確かめられます。理由は事実を短く書いておけば足ります。
「その他」の欄には、どのくらい詳しく書けばいいですか?
1〜2行で十分です。家族の争いの経緯や相手への不満まで書く必要はありません。
生命保険金を受け取っても相続放棄できますか?
受取人が決まっている生命保険金は受取人固有の財産なので、放棄しても受け取れます。ただし、生命保険金の非課税枠は使えなくなります。
まとめ
- 理由欄は、当てはまる番号に丸を付け、合わない時だけ「6 その他」に書く
- 関わりたくない時は「長年交流がない」など事実に置き換えて書く
- 疎遠だった場合は「相続の開始を知った日」の欄も確かめる
- 理由より、期限内か・財産を使っていないかのほうが大事
- 放棄したら、次に相続人になる親族へ一言伝えておく





