相続トラブルはこう起きる|実家・介護・使い込みのケース別に見る予防策

相続トラブルが起きやすい3つのケースと予防策を解説する記事のアイキャッチ

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親が亡くなって、兄弟の空気が急にぎこちなくなった。うちは仲がいいから大丈夫、と思っていたのに。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、相続トラブルは「お金が多い家」より「分けにくい財産がある家」「家族の中で負担に差があった家」で起きやすいんです。

この記事では、実家・介護・使い込みの3つのケースで、揉める理由と先回りできることを見ていきます。

目次

相続トラブル、わが家で起きやすいのはどのケース?

このケースではこうなる

例えば、母が亡くなり、子2人が実家と預金500万円を相続するケースです。実家を同居していた長男が住み続けたいと言うと、遺産のほとんどが長男に行くので、次男は納得しにくくなります。こうした家は、生前に遺言で分け方を決めておくか、実家を継ぐ人が代わりにお金を払う形(代償金)を家族で話しておくと揉めにくくなります。

揉める家と揉めない家の差は、財産の額だけではありません。

『うちは財産なんてほとんどないから』と思う方ほど、実は要注意です。分けられる預金が少なく、家だけが残ると、きれいに半分にできないからです。

よくある3つのケースを並べてみます。

ケース揉めやすい理由先回りできること
遺産が実家だけ(預金が少ない)家は半分に切れない。住む人と住まない人で不公平感が出る遺言で取得者を決める。代償金を払える資金を準備する
親を介護した兄弟がいる「自分はこれだけ尽くした」と「法定相続分どおり」がぶつかる介護の記録を残す。親に遺言で気持ちを書いてもらう
預金の使い込みが疑われる親の口座を管理していた人と、他の兄弟の間に不信感が生まれる通帳と領収書を残し、使い道を兄弟に共有しておく
実家だけ・介護・使い込みの3つのケースで、相続トラブルが起きる理由と予防策を並べたケース別の分岐表

ほかにも、前妻(前夫)の子がいる家は揉めやすい家の代表です。前の結婚の子も相続人なので、会ったことがない人と遺産分割協議をすることになります。

誰が相続人になるかは、法定相続人を家族図で確認する記事で家族の形ごとに確認できます。

遺産が実家だけ、介護した兄弟がいる家はなぜ揉める?

この2つは、相続トラブルの中でも特に話し合いが長引きやすいケースです。どちらも「気持ちの問題」と「お金の計算」が混ざってしまうからなんです。

遺産が実家だけのケース

例えば、遺産が評価2,000万円の実家と預金200万円で、相続人が子2人のケースです。法定相続分は2分の1ずつなので、1人あたりの目安は1,100万円になります。

実家に住み続けたい長男が家を取ると、次男には預金200万円しか残りません。差を埋めるには、長男が次男にお金を払う(代償分割)か、家を売って分ける(換価分割)ことになります。

「家は俺が守るんだから、それでいいだろう」
「でも、それじゃあ半分にならないよね」

こんな会話から話がこじれていく家は少なくありません。

『とりあえず兄弟の共有名義にしておけば平等では?』と考える方もいます。ただ、共有にすると売る時や貸す時に意見をそろえる必要があり、問題を先送りするだけになることも。

分け方ごとの違いは現物・代償・換価の3つの分け方を比べた記事で、共有の注意点は共有名義で相続した時のリスクで詳しく見られます。

親を介護した兄弟がいるケース

近くに住む長女が何年も親の介護をしてきた、という家は多いですよね。

介護した本人は『その分、多くもらって当然』と感じます。一方で、遠方の兄弟は『法律どおり均等に』と考えがちです。

相続人が親の財産の維持や増加に特別に貢献した場合は「寄与分」として取り分を増やせる制度があります。ただ、家族として普通の範囲の介護だと認められにくく、話し合いで決着しないことも多いんです。

ここが大事なところです。2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました(原則として法定相続分で分けます)。介護の分を考えてほしいなら、早めに話し合いを始めましょう。

相続人ではない長男の妻などが介護をした場合は「特別寄与料」を請求できます。相続の開始と相続人を知った時から6か月、相続開始から1年以内という短い期限があります。

寄与分の考え方と金額の出し方は寄与分をケース別に計算した記事で確認してみてください。

親の預金の使い込みを疑った時は?

親と同居していた兄弟が通帳を管理していて、亡くなった後に残高が思ったより少なかった。これも相続トラブルでよくあるケースです。

『勝手に使ったんじゃないか』と疑う気持ちは自然です。ただ、生活費や医療費、介護費に使っていた可能性もあります。

まずは事実を確かめるところから始めましょう。

使い込みを疑った時に確かめること
  • 亡くなった親の口座の入出金の履歴を、相続人として銀行で取り寄せる
  • 大きな出金の日付と金額を書き出す
  • 同じ時期の入院・施設・リフォームなど、使い道の心当たりを管理していた人に聞く
  • 家族名義の口座に親のお金が移っていないか(名義預金)を確認する

家族名義でも、実質は親のお金でためた預金は「名義預金」として相続財産になります。相続税の申告でも見落としやすい所なので、注意しておきましょう。

通帳を管理していた側からすると、疑われるのはつらいですよね。管理を任されている人は、今のうちから領収書を残し、使い道を兄弟に見せておくのが何よりの自衛になります。

話し合いで説明がつかない時は、弁護士に相談して返してもらうための手続きを検討することになります。

なお、葬儀費用などで急ぎお金が要る時は、預貯金の仮払い制度が使えます。1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額 × 3分の1 × その人の法定相続分」、上限150万円までなら、他の相続人の同意なしで払い戻せます。

揉めない家がしていること、揉めたらどう進む?

揉めない家に共通するのは、親が元気なうちに「誰が何を受け継ぐか」が家族の中で見えていることです。

効果が大きいのは遺言書です。公正証書遺言なら家庭裁判所の検認が要りません。自筆証書遺言でも、法務局の自筆証書遺言書保管制度(手数料1通3,900円)を使えば検認は不要になります。

遺言があっても、子など兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります。偏った遺言は、かえって争いの種になることも。金額の目安は遺留分をケース別に計算した記事で確認してみてください。

それでも揉めてしまった時は、次の順で進むのが一般的です。

相続で揉めた時の進め方
  1. 財産の一覧と相続人の範囲を全員で共有する
  2. 相続人全員で遺産分割協議をする(全員の合意が必要)
  3. まとまらなければ家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
  4. 調停でも決まらなければ審判で分け方が決まる

揉めている間も、相続税の期限は止まりません。申告と納付は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

期限までに分け方が決まらない時は、法定相続分で仮に申告して「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきましょう。分割が決まった後に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。

不動産の相続登記も、取得を知った日から3年以内の義務です。分け方がまとまらない時は、相続人申告登記で義務を果たす方法があります。

兄弟の話し合いが止まっている、土地の評価で意見が割れている、申告期限が近い。こうした家は、税理士に入ってもらうと数字の根拠がはっきりして、話が前に進みやすくなります。要件を満たすかどうかの判断も含めて、一度相談してみてください。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

相続で揉めて兄弟と縁を切りたい時、相続放棄すればいいですか?

相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。放棄すると初めから相続人でなかったことになり、遺産は受け取れません。縁を切る手段として選ぶ前に、取り分を手放してよいかをよく考えてみてください。

お墓や仏壇をどちらが継ぐかで揉めています。相続税はかかりますか?

墓地・墓石・仏壇などの祭祀財産は、相続税がかかりません。ただし、骨董的な価値がある物や投資目的の物は対象外です。誰が継ぐかは、税金より先に家族で話し合っておきましょう。

遺産分割に期限はありますか?

遺産分割そのものに法律上の期限はありません。ただし、相続開始から10年を過ぎると特別受益や寄与分を主張できなくなります。相続税の申告は10か月以内なので、実際には早めに決める家がほとんどです。

まとめ

この記事の要点
  • 相続トラブルは、遺産が実家だけ・介護の負担差・使い込みの疑いがある家で起きやすい
  • 実家だけの家は、遺言や代償金の準備で揉めにくくできる
  • 寄与分や特別受益は、相続開始から10年を過ぎると主張できない
  • 使い込みを疑ったら、まず入出金の履歴で事実を確かめる
  • 揉めても、相続税の申告期限(10か月)と相続登記の義務(3年)は進む
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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