口座がたくさんある時に銀行の相続手続きを効率よく進める方法

複数の銀行に口座がある時の相続手続きを効率よく進める方法を解説する記事のアイキャッチ

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通帳を片付けていたら、地元の信用金庫に都市銀行、ネット銀行、ゆうちょ銀行まで出てきた。『これを1行ずつ回るの?』と気が遠くなった方も多いはずです。

結論から言うと、銀行の数が多いほど「書類を先にそろえて、全部の銀行に同時に出す」やり方が効きます。この記事では、口座の数や相続人の状況ごとに、どこで時間を短くできるかを見ていきます。

目次

口座が5つ以上ある時、1行ずつ回るしかない?

このケースの結論

口座がいくつあっても、1行ずつ順番に回る必要はありません。法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を出してもらえば、戸籍の束の代わりに使えるので、何行にも同時に書類を出せます。遺産分割協議書と印鑑証明書も先に人数分そろえておくと、銀行ごとの待ち時間が重なって全体が短くなります。

時間がかかる大きな原因は、銀行の手続きそのものより「戸籍の束の返却待ち」なんです。

亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍は、何通にもなることがあります。原本を1セットしか持っていないと、A銀行に出して返ってくるのを待ってからB銀行へ、という順番になりますよね。

ここを変えるのが、法定相続情報証明制度です。2017年5月29日に始まった制度で、法務局に戸籍一式と相続人の一覧図を出すと、法務局が確認した「一覧図の写し」を無料で交付してくれます。

法務局の案内では、この写しは預金の払戻し手続や相続税の申告、年金の手続きにも使えるとされています。写しが追加で必要になった時は、申出人が再交付を受けることもできます。

法定相続情報証明制度について(法務局)

口座の数と相続人の状況で、進め方はどう変わる?

『うちは口座が3つだけだから、制度を使うほどでもない?』という方もいますよね。口座の数と相続人の状況で、向いている進め方は変わります。

ケース進め方の結論理由・注意
口座が2〜3行・相続人は同居の妻と子1人戸籍の束を持って順番に回っても間に合う銀行が近所に集まっているなら、一覧図を作る手間の方が大きいこともある
口座が5行以上・相続人は子3人で別々の県に住む一覧図の写しを取り、全部の銀行へ同時に郵送で出す書類の返却待ちがなくなり、署名・押印の取りまとめも1回で済む
ネット銀行や証券口座が混ざっている電話やWebで相続の受付をしてから書類を郵送店舗がないので、郵送前提で書類の通数を多めに用意する
遺言書があり、預金を受け取る人が決まっている遺言書と一覧図の写しで手続き自筆の遺言は家庭裁判所の検認が要る。法務局保管の遺言や公正証書遺言は検認不要
相続人の1人が協議書にサインしない仮払い制度で当面の資金だけ引き出す1行ごとに上限150万円。協議がまとまるまで残りは動かせない

例えば、母が亡くなり、子3人が東京・大阪・福岡に住んでいるケースを考えてみてください。銀行が6行あると、協議書に3人の署名と実印をもらい、印鑑証明書も集める作業を、銀行ごとに繰り返すことになりがちです。

この場合は、協議書1通に全部の口座を書いておき、印鑑証明書を必要な通数だけ先に取ってもらうのが近道です。

口座の数と相続人の住まいで、順番に回るか同時に出すかが分かれることを示したケース別の分岐表

何行も同時に進めるには、何を先にそろえればいい?

実は、時間を短くできるかどうかは、銀行に行く前の準備で決まります。

複数の銀行を同時に進める順番
  1. 通帳・キャッシュカード・郵便物・スマホのアプリから、取引のある金融機関を書き出す
  2. 各銀行に死亡の連絡をし、相続の受付をしてもらう(このとき口座は凍結される)
  3. 戸籍をそろえる(本籍地以外の窓口でも広域交付でまとめて請求できる)
  4. 法務局で法定相続情報一覧図の写しを交付してもらう
  5. 遺産分割協議書を作り、全員の署名・実印と印鑑証明書を必要な通数だけ集める
  6. 各銀行の相続手続き書類に記入し、まとめて提出する
  7. 払戻しや名義変更の完了を、銀行ごとに表で管理する

戸籍集めは、2024年3月1日から始まった戸籍証明書の広域交付で楽になりました。本籍地が遠くても、近くの市区町村の窓口で、本人・配偶者・父母・子などの戸籍をまとめて請求できます。

ただし、広域交付は窓口に本人が行く必要があり、郵送や代理人では使えません。きょうだいの誰が取りに行くか、先に決めておきましょう。

一覧図の写しの申出先は、亡くなった人の本籍地・最後の住所地・申出人の住所地・不動産の所在地のどれかを管轄する法務局から選べます。郵送でも申し出られるので、遠方の相続人が代表になっても進められます。

一覧図は申出日の翌年から5年間、法務局に保存されます。後から別の手続きで要る時にも使えるのは助かりますよね。

銀行ごとに違うところで、つまずきやすいのは?

『同じ書類を出したのに、銀行によって言われることが違う』という声は多いんです。

よくあるのが、銀行独自の相続届の書式です。協議書や一覧図は共通で使えても、相続届は銀行ごとに書式が違い、相続人全員の署名と実印を求められることがあります。

例えば、こんなやり取りになりがちです。

「協議書があるので、相続届は代表者だけのサインでいいですか?」
「当行の書式には、相続人全員のご署名と実印をお願いしています」

こうなると、遠方のきょうだいにもう一度書類を送ることになります。最初の電話で「相続人全員の署名が要る書類はどれか」を聞いておくと、郵送の往復を1回で済ませやすくなります。

銀行に最初に電話する時に聞いておくこと
  • 相続届の書式に、相続人全員の署名・実印が要るか
  • 法定相続情報一覧図の写しで戸籍の代わりになるか
  • 印鑑証明書は発行から何か月以内のものが必要か
  • 原本を返してもらえる書類はどれか
  • 残高証明書(亡くなった日の残高)を出してもらえるか

残高証明書は、相続税の申告が必要になりそうな家ほど早めに取っておきたい書類です。預貯金は亡くなった日の残高で評価し、定期預金は既経過利息も足します。

口座が多いと、「ほとんど使っていない口座」も見落としがちです。家族名義の口座でも、実際は亡くなった人のお金なら名義預金として相続財産になるので、一緒に洗い出しておきましょう。

手続きが終わるまで、生活費や葬儀代はどうする?

銀行に死亡を伝えると口座は凍結され、遺産分割が終わるまで原則として引き出せなくなります。『葬儀代の支払いが先に来る』と焦る方もいますよね。

その場合に使えるのが、預貯金の仮払い制度です。1つの金融機関ごとに「亡くなった時の預金額 × 1/3 × その人の法定相続分」まで、上限150万円で相続人が単独で払い戻せます。

例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が相続人で、ある銀行の預金が900万円だったケースです。妻の法定相続分は1/2なので、900万円 × 1/3 × 1/2 で、妻はこの銀行から150万円まで単独で払い戻せます。

ケース(1つの銀行の預金額)妻(法定相続分1/2)子1人(法定相続分1/4)
600万円100万円まで50万円まで
900万円150万円まで75万円まで
1,800万円上限の150万円まで150万円まで

口座が複数あれば、この計算は銀行ごとにできます。ただし、払い戻した分は遺産を先に受け取った扱いになり、後の分け方で調整されます。

また、財産を使うと相続放棄ができなくなることがあります。借金が多いかもしれない家は、引き出す前に借金と財産のどちらが多いか分からない時の判断を先に読んでみてください。

口座が多い家は、相続税の申告が要るかも確認を

口座が多いのは、それだけ財産がまとまっているサインでもあります。預金を全部足したら、思ったより大きな額になった、ということもありますよね。

相続税の基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。妻と子2人なら4,800万円、子2人だけなら4,200万円になります。

ケース基礎控除申告の目安
妻と子2人・預金と実家で合計4,000万円4,800万円基礎控除以下なので申告は不要
子2人・預金だけで合計5,000万円4,200万円基礎控除を超えるので申告が必要
妻と子2人・合計6,000万円で、妻が全部相続して納める税額が0円4,800万円配偶者の税額軽減を使うには申告が必要

申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。銀行の手続きに時間を取られて、気づいたら残り数か月だった、というのはよくある話なんです。

自分の取り分がいくらになるかは、家族構成から取り分を計算する方法で確かめられます。相続税以外の費用も含めた手取りは、相続した後に手元に残るお金の計算を参考にしてみてください。

銀行が5行以上ある、実家の土地もある、相続人が遠方に分かれている。こうした家は、残高証明書の集め方から申告までをまとめて税理士に頼むと、期限に追われずに済みます。特例が使えるかどうかも、要件を満たすかは税理士に確認しておくと安心です。

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相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

銀行の相続手続きは、複数の銀行で同時に進めてもいいですか?

同時に進めて問題ありません。法定相続情報一覧図の写しを使えば、戸籍の束の返却を待たずに、何行にも書類を出せます。銀行ごとに相続届の書式が違うので、最初の電話で必要書類を確認しておきましょう。

法定相続情報一覧図の写しは、何枚でももらえますか?

必要な枚数を申し出ることができ、後から追加で要る時は、当初の申出人が再交付を受けられます。一覧図は申出日の翌年から5年間、法務局に保存されます。手数料は無料です。

口座の数が多すぎて、全部見つけられているか不安です。

通帳やキャッシュカードのほか、郵便物、スマホの銀行アプリ、確定申告書の利子の記載も手がかりになります。見つかった銀行で、ほかの支店の口座がないかも聞いてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 口座が多い時は、1行ずつ回るより、書類をそろえて全部の銀行に同時に出す方が早い
  • 法定相続情報一覧図の写しは無料で、預金の払戻しや相続税の申告にも使える
  • 銀行ごとに相続届の書式が違うので、最初の電話で全員の署名が要るかを確認する
  • 当面の資金は仮払い制度で、1行ごとに上限150万円まで単独で払い戻せる
  • 口座が多い家は、相続税の申告が要るかを早めに確認し、期限の10か月に備える
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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