当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
親はまだ元気。でも、いざという時に財産のことを何も知らないのは不安ですよね。『何を聞いておけばいいんだろう』と考えている方も多いはずです。
結論から言うと、聞くべきことは10項目に絞れます。この記事では、わが家のケースでどこを優先して聞けばいいかと、そのまま使える聞き取りシートの例が分かります。
親が元気なうちに何を聞けばいい?
聞いておきたいのは「財産の場所」「借金や保証」「遺言の有無」「過去の贈与」「葬儀や介護の希望」です。金額を細かく聞き出す必要はありません。どこに何があるかが分かれば、亡くなった後の手続きはぐっと楽になります。
実は、相続でとても困りやすいのが「財産がどこにあるか分からない」ことなんです。通帳が見つからない銀行や、名前も知らない証券会社の口座は、探すだけで何か月もかかることがあります。
相続税の申告は、亡くなった日の翌日から10か月以内です。相続放棄はもっと短く、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
財産の全体像が分からないままだと、放棄するか決める前に期限が来てしまうことも。だからこそ、親が元気なうちに聞いておく意味があるんです。
聞いておきたい相続の10項目
『全部聞くのは大変そう…』と思いますよね。ただ、1回で全部聞く必要はありません。帰省のたびに2〜3項目ずつで十分です。
- 預金口座がある銀行と支店
- 不動産の場所と名義(共有になっていないか)
- 株や投資信託を預けている証券会社
- 生命保険の会社と受取人
- 借入金や、誰かの保証人になっていないか
- 遺言書を書いたか、どこに保管しているか
- これまでに子や孫へ贈与したお金(いつ、誰に、いくら)
- 葬儀やお墓についての希望
- 介護が必要になった時の住まいや頼みたい人の希望
- 亡くなった時に連絡してほしい人と、スマホやネット口座の情報のありか
特に聞き漏らしたくないのが借金と保証人です。マイナスの財産が多い時は相続放棄を考えますが、その期限は3か月しかありません。
過去の贈与も大事なところです。2024年1月1日以降の贈与から、亡くなる前7年以内に相続人などが受けた贈与は、相続財産に足されることになりました。いつ誰にいくら渡したかが分からないと、申告で困ることがあります。
足される期間の詳しい数え方は贈与が相続税に足される期間の早見表で確認できます。

わが家のケースではどこを優先して聞く?
10項目のうち、どれを先に聞くかは家族の状況で変わります。わが家に近いケースを探してみてください。
| ケース | 優先して聞くこと | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 父だけ存命・子2人・自宅と預金で課税価格8,000万円 | 財産の一覧、遺言の有無、自宅に住む予定の人 | 相続税がかかる。自宅は特例の要件しだいで評価が下がる |
| 父母とも健在・子1人・賃貸暮らしで預金中心 | 銀行と証券会社、借金や保証 | 相続税がかからないことも多い。口座探しの手間を減らす |
| 父だけ存命・子2人・地方の実家と農地 | 不動産の場所と名義、誰が引き継ぐか | 売れにくい土地は誰も欲しがらず、話し合いが止まりやすい |
1つ目のケースで計算してみます。母が先に亡くなっていて、父の相続人が子2人なら、基礎控除は4,200万円です。
課税価格8,000万円を2人で半分ずつ取得すると、相続税の総額は470万円で、1人235万円を納めます。申告期限の10か月までに現金で納めるのが原則なので、預金がどこにあるかは早めに知っておきたいところです。
自宅に同居している子が引き継ぐなら、小規模宅地等の特例で土地の評価が下がることもあります。要件を満たすかは税理士に確認しておきましょう。
2つ目のケースで、父が亡くなり母と子1人が相続するなら、基礎控除は4,200万円です。父の財産がこれ以下なら相続税はかからず、申告も要りません。
この場合に大事なのは、税金よりも「どこに口座があるか」です。ネット銀行やネット証券は通帳がないので、親に聞いておかないと気づけないこともあります。
3つ目のケースは、税金より「誰が引き継ぐか」が問題になりやすいです。地方の実家や農地は、兄弟の誰も住む予定がないと押し付け合いになりがちなんです。
親が元気なうちに「この家は誰かに住んでほしい?売ってもいい?」と聞いておくと、兄弟で話し合う時の土台になります。親の希望が分かっていれば、それを軸に決めやすくなります。
生命保険の受取人も、このタイミングで聞いておきたい項目です。相続人が受け取る死亡保険金には、500万円 × 法定相続人の数の非課税枠があります。受取人が誰かで、使える枠や分け方の話が変わることもあります。
家族構成ごとの取り分は家族構成から取り分を計算する方法で確かめられます。
聞き取りシートはどう書けばいい?
聞いた内容は、紙1枚かスマホのメモにまとめておきましょう。金額は「だいたい」で構いません。
| 項目 | 記入例 | 確認した日 |
|---|---|---|
| 預金 | 地元の銀行(駅前支店)、ネット銀行1つ | 帰省した時 |
| 不動産 | 自宅の土地と建物、名義は父 | 帰省した時 |
| 証券 | ネット証券1社 | 電話で |
| 生命保険 | 1社、受取人は長男 | 帰省した時 |
| 借金・保証 | なし(本人に確認) | 帰省した時 |
| 遺言 | 法務局で保管(自筆) | 次回に確認 |
| 贈与 | 孫の入学時にお祝い | 次回に確認 |
| 希望 | 葬儀は家族だけで | 電話で |
「通帳を見せて」と言うと身構えられがちです。
「何かあった時に困らないように、銀行の名前だけ教えておいて」
「それくらいならいいよ。駅前の銀行と、あとネットのが1つ」
こんなふうに「名前だけ」「場所だけ」に絞ると、話してもらいやすくなります。
市販のエンディングノートを使うのもいい方法です。ただ、エンディングノートは遺言書の代わりにはなりません。財産の分け方まで決めておきたいなら、遺言書を作ってもらう必要があります。
自筆の遺言なら、法務局で預かってもらう自筆証書遺言書保管制度があります。手数料は1通3,900円で、保管された遺言は家庭裁判所の検認が要りません。
公証役場で作る公正証書遺言という方法もあります。証人2人の立ち会いで作り、こちらも検認は要りません。どちらが合うかは、親の体力や財産の中身で考えてみてください。
話の切り出し方に迷ったら、親に相続の話を切り出す時の伝え方の例も参考にしてみてください。
自宅などの土地がある、相続人が3人以上いる、財産が基礎控除を超えそう、というケースは、親が元気なうちに税理士に試算してもらうと楽です。生前に使える対策を、親子で一緒に考えられます。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
よくある質問
親が財産のことを話したがりません。どうすればいいですか?
金額ではなく、銀行や保険会社の名前だけを聞くところから始めてみてください。一度に全部聞こうとせず、帰省のたびに少しずつで十分です。
聞き取りシートやエンディングノートに書いた内容は、遺言の代わりになりますか?
なりません。財産の分け方を決めておきたい時は、自筆証書遺言か公正証書遺言を作ってもらう必要があります。
兄弟がいる場合、聞き取りは誰がやればいいですか?
誰か1人が聞いて、内容を兄弟全員で共有するのがおすすめです。1人だけが知っている状態だと、後で疑われる原因になります。
まとめ
- 聞くべきことは財産の場所・借金や保証・遺言・過去の贈与・希望の10項目
- 金額より「どこに何があるか」を優先して聞く
- 父と子2人・課税価格8,000万円なら相続税の総額は470万円
- 2024年以降の贈与は、亡くなる前7年以内の分が相続財産に足される
- エンディングノートは遺言書の代わりにならない




