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相続の時に「とりあえず兄弟で半分ずつ」と共有名義にした実家。何年かたって『売るにも直すにも、全員の同意が要って動けない』と困っていませんか。
結論から言うと、共有を解消する方法は大きく3つです。兄弟の誰かが持分を買い取るか、実家ごと売ってお金で分けるか、共有物分割で分け方を決めるかです。
どれを選ぶかで、かかる税金と登記の費用が変わります。この記事では、よくあるケースごとに向いている方法を見ていきます。
兄は住み続けたい、弟は売りたい。このケースはどうする?
実家に住み続けたい兄がいるなら、兄が弟の持分を買い取る方法がいちばん現実的です。弟は持分を売った代金を受け取り、兄は単独の名義になります。売った弟には譲渡所得の税金がかかることがあり、登記の登録免許税は売買なので土地で1,000分の20(期限付きの軽減あり)です。
共有のままだと、実家を売る、建て替える、大きく直す、といった場面で兄弟全員の同意が要ります。『今は仲がいいから大丈夫』と思っていても、兄弟の誰かが亡くなると、その持分はさらにその子どもたちへ分かれていくんです。
例えば、こんなやり取りはよくあります。
「家は俺が住んでるんだから、このままでいいだろ」
「でも、名義が半分ある以上、固定資産税も半分払ってるんだけど」
こうなると、話し合いは長引きがちです。どの方法で解消するかを、早めに決めておきましょう。
実は、共有のまま困るのは売る時だけではありません。空き家のまま傷んでいく、固定資産税の負担で兄弟の不満がたまる、貸したくても話がまとまらない、ということも。
例えば、兄が実家に住み、弟は遠方で暮らすケースと、兄弟とも別の家に住み実家は空き家のケースでは、向いている解消の方法がまったく違います。次の表で、自分の家がどちらに近いかを見てみてください。
共有を解消する3つの方法、何が違う?
3つの方法を、実家の使い方ごとに比べるとこうなります。
| 方法 | 向いているケース | かかる税金 | 登録免許税 |
|---|---|---|---|
| 1. 兄弟の持分を買い取る | 1人が住み続けたい | 売った人に譲渡所得の税金 | 売買で1,000分の20(土地は期限付きで1,000分の15) |
| 2. 実家ごと売って代金を分ける | 誰も住まない・空き家 | 兄弟それぞれに譲渡所得の税金 | 買主側の負担が一般的 |
| 3. 共有物分割(土地を分ける等) | 土地が広く分けられる・話し合いがまとまらない | 分け方による | 共有物の分割で1,000分の4 |

登録免許税の課税標準は、原則として固定資産税評価額です。これとは別に、登記を司法書士に頼む場合は報酬がかかります。実家を売る場合は、不動産会社への仲介手数料もかかるので、手元に残る額で比べてみてください。
もう1つ、持分を無償で兄弟に渡す(贈与する)方法もあります。ただ、受け取った側に贈与税がかかることがあり、登録免許税も1,000分の20です。お金のやり取りなしで済ませたい時ほど、税金を先に確かめておきましょう。
持分を買い取る時に気をつけることは?
いちばん大事なのは、買取の値段です。兄弟の間だからと極端に安い値段にすると、相場との差額が贈与と見られることがあります。
『兄弟なんだから、安く譲ってもいいよね』と思う方もいるはずです。ただ、税金の面では他人どうしの売買と同じように見られるんですね。
- 実家の価格を、不動産会社の査定などで客観的に確かめたか
- 買う側に代金を払える資金があるか(住宅ローンが使えるかも含めて)
- 売る側の譲渡所得の計算に使う、親が買った時の値段が分かるか
- 固定資産税や修繕費の精算をどうするか
- 売買契約書を作り、登記まで済ませる段取りがあるか
売った弟の譲渡所得では、取得費と取得した時期を親から引き継ぎます。親が買った時の書類が見つからないと、税金が重くなることがあるので注意しておきましょう。
買う側の兄にも、確かめておきたいことがあります。持分を買うお金を住宅ローンで借りられるか、金融機関によって扱いが違うんです。
「ローンが組めると思って話を進めたら、審査で止まった」ということも。値段を決める前に、資金の目処を立てておくと話がスムーズです。
実家ごと売る時に使える特例は?
誰も住まない実家なら、売って代金を分けるのがすっきりします。兄弟それぞれが、自分の持分の売却代金と譲渡所得の申告を受け持つ形です。
ここが大事なところです。条件を満たせば、税金を軽くできる特例があります。
| ケース | 使えるかもしれない特例 | 注意 |
|---|---|---|
| 1981年5月31日以前に建った親の家で、相続後は空き家 | 空き家の3,000万円特別控除 | 2027年12月31日までの譲渡。相続人が3人以上なら1人2,000万円 |
| 相続税を払っていて、申告期限の翌日から3年以内に売る | 取得費加算の特例 | 払った相続税の一部を取得費に足せる |
| 兄弟の1人が住んでいた家を売る | 要件しだい | 住んでいた人とそうでない人で扱いが変わる |
空き家の特例が使えるかどうかは、相続した実家を売る時に3000万円控除が使えるかの判定表で確かめてみてください。要件を満たすかは税理士に確認しておくと安心です。
話し合いがまとまらない時はどうなる?
兄弟の1人が売るのにも買い取るのにも反対している。そんなケースでは、共有物分割を裁判所に求める道があります。
裁判所は、土地を分ける、1人が取得して他の人にお金を払う、売ってお金を分ける、のどれかで分け方を決めます。自分たちが望んだ形になるとは限らないんです。
時間も費用もかかるので、まずは話し合いや調停で歩み寄れないかを考えてみてください。
例えば、「売るなら今の相場で」「買い取るなら分割払いで」のように、条件を少しずつ出し合うだけで話が進むこともあります。兄弟だけで話すと感情的になりやすいので、査定書などの数字を間に置いて話すのがおすすめです。
まだ遺産分割協議そのものが終わっていない段階なら、協議の中で1人の名義にまとめる方法もあります。こちらは実家の名義を兄弟の1人にまとめる時の税金で詳しく書いています。
持分の買取価格で兄弟の意見が合わない、譲渡所得の特例が使えるか分からない、という場合は、税金の面から専門家に見てもらうと進めやすくなります。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
共有名義の実家を、自分の持分だけ売ることはできますか?
自分の持分だけなら、ほかの兄弟の同意がなくても売ることはできます。ただ、持分だけを買う人は限られ、値段も低くなりがちなので、まずは兄弟に買い取ってもらえないか相談してみるのがおすすめです。
兄弟に持分を無償で渡すと、税金はかかりますか?
受け取った兄弟に贈与税がかかることがあります。登記の登録免許税も贈与として1,000分の20がかかるので、金額を確かめてから決めておきましょう。
共有のまま兄弟の1人が亡くなったら、どうなりますか?
亡くなった兄弟の持分は、その配偶者や子どもに相続されます。共有者が増えて話し合いがさらに難しくなるので、解消するなら兄弟が元気なうちに進めておくと楽です。
まとめ
- 共有を解消する方法は、持分の買取・実家ごと売却・共有物分割の3つ
- 1人が住み続けたいなら、その人が持分を買い取るのが現実的
- 登録免許税は売買・贈与が1,000分の20、共有物の分割は1,000分の4
- 空き家として売るなら、3,000万円特別控除などの特例が使えることがある
- 話し合いがまとまらない時は、裁判所に共有物分割を求める道もある





