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父が早くに亡くなり、祖父の相続で自分が相続人になった。ところが遺言には「全財産を長女に」と書かれていた。『孫の自分は何も言えないの?』と戸惑いますよね。
結論から言うと、親の代わりに相続人になった孫(代襲相続人)にも遺留分があります。その額は、亡くなった親が持つはずだった遺留分を、きょうだいで均等に分けた額です。
この記事では、孫の遺留分を金額で計算し、請求の期限まで見ていきます。
親が先に亡くなった孫の遺留分はいくら?
祖父の遺産6,000万円を「全部長女に」とする遺言があり、相続人が祖母・長女・亡くなった長男の子2人(孫)のケースでは、孫1人の遺留分は375万円です。祖母がすでに亡くなっていて孫が1人なら、その孫の遺留分は1,500万円まで増えます。家族構成で金額は大きく変わります。
孫が代襲相続人になるのは、親(被相続人の子)が相続開始より前に亡くなった時などです(民法887条)。代襲した孫は、親が受け取るはずだった相続分をそのまま引き継ぎます。
遺留分も同じ考え方です。兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があり、全体の遺留分(この場合は財産の1/2)を法定相続分で分けます。
計算の流れはこうなります。
| ステップ | 中身 | ケース1の数字 |
|---|---|---|
| 1 | 遺留分を計算するための財産 | 6,000万円(生前贈与がない前提) |
| 2 | 全体の遺留分 | 1/2 で 3,000万円 |
| 3 | 亡くなった長男の法定相続分 | 1/4 |
| 4 | 長男の分を孫2人で均等に | 孫1人 1/8 |
| 5 | 孫1人の遺留分 | 3,000万円 × 1/8 = 375万円 |

『孫だから、子どもより少なくて当然なのかな』と思う方もいますよね。実は、孫が少なくなるのは「親の分を孫どうしで分ける」からで、孫だから減らされているわけではないんです。
家族構成が変わると孫の遺留分はどう変わる?
同じ遺産6,000万円、「全部長女に」という遺言で、家族構成だけ変えて比べてみます。
| ケース | 相続人 | 孫1人の遺留分 | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 1 祖母がいて、孫が2人 | 祖母・長女・孫2人 | 375万円 | 長男の1/4を孫2人で分け、さらに遺留分は1/2 |
| 2 祖母が先に亡くなり、孫が1人 | 長女・孫1人 | 1,500万円 | 孫の法定相続分は1/2、遺留分はその半分の1/4 |
| 3 祖母がいて、孫が1人 | 祖母・長女・孫1人 | 750万円 | 孫の法定相続分1/4、遺留分1/8 |
| 4 亡くなった兄の子(甥姪)が叔父の相続人 | 甥姪など | 遺留分なし | 兄弟姉妹には遺留分がなく、代襲した甥姪にもない |
ケース1では、祖母の遺留分は3,000万円 × 1/2 = 1,500万円です。長女は遺言で全部受け取るので、祖母と孫2人は合わせて2,250万円まで長女に請求できる計算になります。
『甥や姪にも同じ権利があるはず』と思われがちですが、ケース4は勘違いが多いところです。叔父や叔母の相続で甥姪が代襲しても、遺留分はありません。遺言で外されたら、そのまま遺言のとおりになります。
遺言で外された時の配偶者や子の遺留分は、遺留分をケース別に計算した記事でも金額で比べています。
孫が遺留分を請求する時に気をつけることは?
ここが大事なところです。遺留分は放っておくと消えてしまいます。
- 相続の開始と、遺言で遺留分が侵害されたことを知った時から1年以内か
- 相続開始から10年を過ぎていないか
- 祖父から長女への生前贈与など、遺留分の計算に加える財産がないか
- 親(長男)が相続放棄ではなく、先に亡くなった・廃除された等で代襲しているか
2019年7月1日以降の相続では、遺留分は「お金で払って」と請求する形です(遺留分侵害額請求)。不動産を取り戻すのではなく、侵害された額を金銭で受け取ります。
例えば、こんなやり取りになりがちです。
「おじいちゃんの遺言で、全部叔母さんがもらうことになってるのよ」
「でも、父の代わりに相続人になっているので、遺留分の375万円は払ってもらえませんか」
まずは内容証明郵便など記録が残る形で意思を伝えておくと、期限の面で安心です。
相続税の面では、代襲相続人の孫は2割加算の対象外です(国税庁No.4157)。遺留分を受け取った後、相続税の申告や修正が必要になることもあります。
祖父に土地がある、生前贈与の有無で遺留分の額が変わりそう、叔母と直接話しにくい、というケースは専門家に頼むと楽です。
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よくある質問
親が相続放棄していた場合、孫は代襲相続できますか?
できません。代襲相続が起きるのは、親が相続開始より前に亡くなった時、相続欠格に当たる時、廃除された時です。相続放棄はこれに含まれないので、孫は相続人にならず遺留分もありません。
孫が未成年の場合、遺留分の請求は誰がしますか?
親権者などの法定代理人が代わりに請求します。ただ、親権者自身も相続人で利害がぶつかる時は、家庭裁判所に特別代理人を選んでもらうことがあります。
孫の遺留分を計算する時、祖父の借金は差し引きますか?
はい。遺留分を計算するための財産は、プラスの財産に一定の生前贈与を加え、借金などの債務を差し引いて出します。
孫がそもそも相続人になるかは、法定相続人の家族図で先に確かめておくと迷いません。
まとめ
- 親の代わりに相続人になった孫にも遺留分がある。額は親の遺留分を孫どうしで均等に分けた分
- 遺産6,000万円・全部長女にの遺言で、祖母と孫2人なら孫1人375万円、孫1人だけなら1,500万円
- 叔父叔母の相続で代襲した甥姪には遺留分がない
- 知った時から1年・相続開始から10年で請求できなくなる。請求はお金で受け取る形




