夫婦で1通の遺言書を書くのはダメ?無効になる理由

夫婦で1通の遺言書を書くと無効になる理由を解説する記事のアイキャッチ

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『夫婦で話し合って決めたことだから、1枚にまとめて2人で署名すればいい』。そう考えて連名の遺言を用意しようとする方は意外と多いんです。

結論から言うと、夫婦で1通の遺言書を書くことはできません。この記事では、無効になるケースとならないケースを並べて、夫婦で遺言を残す時の形を確認します。

目次

夫婦連名の遺言書は、わが家だとどうなる?

このケースではこうなる

1枚の紙に夫婦2人で書いて署名した遺言は「共同遺言」として認められず、遺言がなかったのと同じ扱いになります。夫婦それぞれが自分の財産について1通ずつ、別の紙に書くのが正しい形です。

民法には「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」という決まりがあります。夫婦でも親子でも同じです。

ケース遺言として認められる?理由・注意
1枚の紙に「私たち夫婦の財産は長男に」と書き、2人で署名押印認められない同じ証書で2人が遺言しているので共同遺言になる
夫と妻が別々の紙に書き、同じ封筒に入れて保管それぞれの遺言として扱われる可能性が高いただし綴じ方や書き方によって争いの種になる。封筒も分けておく
夫が「全財産を妻に」、妻が「全財産を夫に」と1通ずつ書く認められるお互いが相手より先に亡くなった時の次の受け取り手も書いておく

例えば、子のいない夫婦が連名で「どちらかが亡くなったら全部を残ったほうに」と書いていたケース。この遺言は使えないので、夫が亡くなると妻と夫の兄弟姉妹が相続人になり、兄弟姉妹にも4分の1の相続分が出てきます。

子が2人いる夫婦でも同じです。連名で「自宅は長男に」と書いていても使えないので、夫が亡くなれば妻が2分の1、子2人が4分の1ずつという法定相続分をもとに、全員で話し合って分けることになります。

連名の遺言、別々の紙を同じ封筒、1通ずつ別々に書く、の3ケースで遺言が認められるかを比べた分岐表

なぜ夫婦で1通にすると無効になるの?

『夫婦で同じ考えなんだから、1通でもいいのでは?』と思いますよね。ここが大事なところです。

遺言は、書いた本人がいつでも1人で撤回できるものとされています。2人で1通にすると、片方だけが考えを変えたい時に撤回できるのかが分からなくなるんです。

もう1つは、どちらかの書き方に不備があった時です。片方の署名がない、日付が片方の字で書かれているといった場合に、もう片方の分だけ生かすのかがはっきりしません。

「同じ内容なんだから、まとめて書けば手間も半分だよね」
「でも、それだと2人とも遺言がないのと同じになってしまうんです」

手間を省いたつもりが、本当に残したかった配偶者に財産が届かない。これが連名の遺言で起きやすい失敗です。

公正証書遺言なら、公証人が1人ずつ別の証書として作るので、連名になる心配はありません。連名の失敗が起きやすいのは、自宅で夫婦一緒に自筆で書く時なんです。

夫婦で同じテーブルに向かって書く時は、紙を分けることから始めてみてください。

夫婦で遺言を用意する時の正しい形は?

『2通に分けると、内容が食い違わないか心配…』という方もいますよね。夫婦それぞれが、自分の名義の財産について1通ずつ書けば大丈夫です。中身が同じ趣旨でもかまいません。

夫婦で1通ずつ書く時のチェック
  • 書くのは自分名義の財産だけ(配偶者名義の預金や持ち分は書けない)
  • 相手が先に亡くなっていた場合に、誰に渡すかも書いておく
  • 用紙も封筒も別々にし、日付・氏名・押印をそれぞれ自分で入れる
  • 自筆なら法務局の保管制度、または公正証書にしておくと安心

すでに連名で書いてしまった場合は、その紙を直すのではなく、夫婦それぞれが新しく1通ずつ書き直しましょう。新しい遺言には書いた日付を入れ、前に連名で書いたものは撤回すると一文添えておくと、後で家族が迷いません。

書き直した後、連名の紙は本人が破棄しておくのが安心です。どの遺言が最新かを家族に伝えておくと、見つけた時の混乱も防げます。

法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、手数料は1通3,900円です。夫婦2人なら2通分になります。保管された遺言は家庭裁判所の検認も要りません。

公正証書遺言も1人1通です。財産額ごとの手数料は公正証書遺言の費用の計算例で確認できます。

子のいない夫婦なら、配偶者に全部を残す遺言は特に大事です。兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言があれば配偶者がすべてを受け取れます。理由は兄弟に遺留分がない理由で詳しく見られます。

配偶者に全財産を残すと、配偶者の税額軽減で相続税が0円になることも多いです。ただ、その場合も申告は要ります。財産に土地がある、相続人に兄弟姉妹が入るといったケースは、税理士に申告まで任せると楽です。

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よくある質問

連名の遺言書が見つかったら、どうなりますか?

遺言として使えないので、相続人全員の遺産分割協議で分け方を決めます。書かれていた内容は、家族の話し合いの参考にはなります。

夫婦で同じ日に公証役場へ行って作ってもいいですか?

はい、問題ありません。同じ日に作っても、遺言書は夫と妻で1通ずつ別々に作られます。

夫婦で同じ内容の遺言にする必要はありますか?

ありません。それぞれの財産と気持ちに合わせて内容を決めてかまいません。どちらかの遺言だけ書き直すこともできます。

まとめ

この記事の要点
  • 1枚の紙に夫婦2人で書いた遺言は共同遺言で認められない
  • 遺言はいつでも1人で撤回できるものなので、2人で1通にはできない
  • 夫婦それぞれが自分の財産について1通ずつ、別の紙に書く
  • 相手が先に亡くなった時の次の受け取り手も書いておく
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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