海外に口座や不動産を持っていた親が亡くなった時の相続

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親の遺品から、海外の銀行の書類や外国の不動産の資料が出てきた。『海外の財産って、日本の相続税に関係あるの?』と戸惑う方も多いはずです。

結論から言うと、親も相続人も日本に住んでいるケースなら、海外の口座や不動産も日本の相続税の対象です。しかも、海外の手続きは時間がかかりやすいので、10か月の申告期限との兼ね合いが大事なんです。

この記事では、国外財産があった時の相続税をケースで比べ、手続きの進め方と注意点を見ていきます。

目次

海外の口座や不動産も、日本の相続税の対象になる?

このケースの結論

日本に住んでいた親から、日本に住む子が相続する一般的なケースでは、海外にある財産も日本の相続税の対象になります。海外の財産を入れると基礎控除を超えて、税金がかかるようになることも。相続人が海外に住んでいる、親が外国籍だった、というケースは対象の範囲が変わるので、税理士への確認が欠かせません。

国税庁の説明では、相続人が日本に住所を持っているかや、国籍、親が日本に住んでいたかなどで、国外財産が対象になるかが決まります。ケースごとに見てみましょう。

ケース国外財産の扱い理由・注意
親も子も日本に住んでいる国内・国外どちらも対象海外の口座や不動産も申告に入れる
親は日本に住み、子が海外赴任中一時的な海外赴任なら日本に住所があると扱われる留学や出張など一時的に離れている人は国内に住所があるとされる
子が海外に長く住んでいる国籍や過去の住所で扱いが変わる判定が細かいので税理士に確認
親が外国籍で日本に住んでいた在留資格などで扱いが変わる判定が細かいので税理士に確認

出典: 国税庁 No.4138 相続税の納税義務者

『海外の口座は日本の税務署には分からないだろう』と考えるのは危険です。相続税の税務調査では、申告漏れなどが見つかった割合が82.3%(令和6事務年度の実地調査)にのぼります。

海外の財産を入れると、相続税はいくら変わる?

例えば、父が亡くなり、日本に住む母と子2人が相続するケースです。日本の財産が4,000万円、海外の口座と不動産が円に換算して2,000万円あったとします。

ケース課税価格の合計基礎控除納付額の合計理由・注意
母と子2人・日本の財産だけ4,000万円4,800万円0円基礎控除以下なので申告も不要
母と子2人・海外の財産も入れる6,000万円4,800万円60万円法定相続分どおりなら母は0円、子が30万円ずつ
子2人だけ・日本の財産だけ4,000万円4,200万円0円母が先に亡くなっているケース
子2人だけ・海外の財産も入れる6,000万円4,200万円180万円子が90万円ずつ

日本の財産だけなら申告が要らなかったのに、海外の財産を入れると税金がかかるようになるんです。

母と子2人のケースでは、母の分は配偶者の税額軽減で0円になります。ただ、軽減を使うには申告が必要ですよ。

日本の財産4,000万円と海外の財産2,000万円を相続するケースで、海外の財産を入れるかどうかと家族構成で納付額が変わる様子を示した内訳バー

海外の財産を後から相続人が売る場合も、日本と現地の両方で税金の確認が要ることがあります。売るかどうかを決める前に、現地の専門家と日本の税理士の両方に相談しておくと安心ですよ。

海外でも税金がかかったらどうなる?

財産のある国によっては、その国でも相続に関する税金がかかることがあります。同じ財産に日本と海外の両方で税金がかかるのは困りますよね。

その時に使えるのが、外国税額控除です。海外で納めた相続税にあたる税金を、日本の相続税から差し引ける制度です。

『じゃあ二重に払うことはないんだね』と安心しがちですが、差し引ける額には計算上の限度があります。海外での申告書や納付の記録を取っておき、税理士に計算してもらいましょう。

海外の口座や不動産の手続きは、何から始める?

海外の財産は、国ごとに相続の手続きが違います。裁判所の手続きが必要な国もあり、日本の銀行のように数週間で終わらないことも多いです。

海外の財産があった時の進め方
  1. 海外の銀行・証券会社・不動産会社からの郵便物やメールを集める
  2. 親の確定申告書の控えで、海外の利子・家賃などの収入がないか確かめる
  3. 海外の財産ごとに、相続の手続きの窓口(現地の銀行・専門家)を調べる
  4. 日本の財産と合わせて財産の一覧を作り、相続税がかかるか試算する
  5. 遺産分割がまとまらない時は、法定相続分で申告し「申告期限後3年以内の分割見込書」を出す
  6. 申告・納付を、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に済ませる

例えば、手がかりを探す時はこんな会話になります。

「お父さん、昔の赴任先で口座を作ったって言ってなかった?」
「メールに海外の銀行から明細が届いてるかもしれない。パソコンを見てみよう」

最近はオンラインの明細だけで、紙の郵便物が届かない口座も多いですよね。パソコンやスマホのメール、ブックマークも手がかりになります。

親が亡くなった後に海外の口座が凍結されると、手続きに書類の翻訳や公的な証明が求められることもあります。日本の戸籍だけで足りるとは限らないので、現地の窓口に必要書類を早めに聞いておきましょう。

遠方に住んでいる、仕事で動けないなど、手続きに時間を割きにくい方は遠く離れて住む子が相続手続きを進める工夫も参考にしてみてください。

期限に間に合わない時に気をつけることは?

海外の手続きが終わらなくても、日本の相続税の申告期限は延びません。期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税がかかることがあります。

状況対処理由・注意
海外の財産の金額がまだ分からない分かる範囲で申告し、確定したら修正する何もしないまま期限を過ぎるのは避ける
遺産分割がまとまらない法定相続分で仮に申告し、分割見込書を出す分割後に配偶者の税額軽減などを受けられる
納めすぎていた更正の請求をする原則として法定申告期限から5年以内

海外の口座や不動産があり、相続税がかかりそうなケースは、税理士に頼むと楽です。国外財産の評価や外国税額控除の計算、相続人が海外に住んでいる時の判定まで、まとめて相談できます。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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国内にも自営業の財産がある場合は、個人事業主の親が亡くなった時の手続きと期限の一覧も合わせて確認しておきましょう。

よくある質問

海外の財産は、どの金額で日本の相続税に入れればいいですか?

海外の財産も円に換算して評価します。換算の方法や不動産の評価の仕方には決まりがあるので、税理士に確認してみてください。

海外の不動産は、日本の相続登記の義務の対象ですか?

日本の相続登記の義務は、日本の不動産が対象です。海外の不動産の名義変更は、その国の手続きに従って進めることになります。

海外の口座のことを申告に入れずに済ませても分かりませんか?

相続税の税務調査では申告漏れなどが見つかる割合が高く、後から加算税や延滞税がかかることがあります。分かっている財産は、海外のものも含めて申告しておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 親も子も日本に住んでいる一般的なケースでは、海外の財産も日本の相続税の対象
  • 日本の財産4,000万円だけなら0円でも、海外の財産2,000万円を入れると母と子2人で60万円、子2人で180万円
  • 海外でも税金がかかった時は外国税額控除で差し引ける(限度あり)
  • 海外の手続きは時間がかかるので、財産の手がかりを早めに集める
  • 期限に間に合わない時は、分かる範囲で申告し、分割見込書や修正で対応する
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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