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親がアパートを持っていたけれど、個人名義なのか、会社を作って法人で持っていたのか。『どっちでも相続は同じでしょう?』と思う方も多いはずです。
結論から言うと、個人の大家なら「不動産そのもの」を、法人化した大家なら「会社の株」を相続します。相続するものが違うので、評価の仕方も手続きも大きく変わるんです。
この記事では、個人と法人の2つのケースを並べて、相続人がやることと税金の違いが分かります。
個人の大家と法人の大家、相続するものはどう違う?
個人で持っていたアパートは、土地・建物が相続財産になり、路線価や固定資産税評価額で評価します。法人で持っていたアパートは会社の財産なので、相続人が受け継ぐのは父が持っていた株です。株は非上場株式として評価し、家賃は会社に入り続けます。
例えば、父がアパート1棟を持っていて、母と子2人が相続人のケースで比べてみます。
| 比べる点 | 個人で持っていたケース | 法人で持っていたケース | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 相続するもの | 土地・建物 | 会社の株(と父の役員報酬の未払い分など) | アパートの名義は会社のまま |
| 評価の仕方 | 土地は貸家建付地、建物は貸家として評価 | 非上場株式として評価 | 株は会社の規模などで評価方式が変わる |
| 亡くなった後の家賃 | 遺産分割までは相続人が法定相続分で受け取る | 会社の売上として入り続ける | 法人なら口座凍結で家賃が止まる心配は小さい |
| 名義の変更 | 相続登記(3年以内) | 株主名簿の書換えと、役員の変更登記 | 法人のアパートは相続登記が要らない |
| 分け方で揉めやすい点 | 1棟を共有にすると売却などで意見が割れる | 株を分けると、会社の決め事で意見が割れる | どちらも「誰に集めるか」が大事 |
『会社にしておけば、相続は楽になるの?』と気になりますよね。家賃が止まらない、物件を細かく分けずに済むといった良さはあります。ただ、株の評価は専門的で、自分で計算するのは難しいところです。

法人のアパートを相続すると、株の評価はどうなる?
法人で持っていたアパートは、会社の株を通して評価します。非上場株式の評価には、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式があり、会社の規模や株を持つ人の立場で使い分けます。
アパートしか持っていない会社は、会社の財産のほとんどが不動産ですよね。純資産価額方式では、会社の土地・建物や借入金を相続税の評価で計算し直します。そのため、決算書の数字とは違う金額になることがあるんです。
例えば、相続人の間でこんな会話が出がちです。
「決算書では純資産が少ないから、株の価値も低いよね?」
「でも、土地を今の評価で計算し直すと、思ったより高くなるかもしれないよ」
ここは税理士でも経験の差が出やすいところです。会社の決算書と、物件ごとの評価をセットで見てもらいましょう。
株を兄弟でどう分けるかは、会社の決め事にも関わります。後継ぎに集める方法は、同族会社の株を兄弟で分ける時の考え方で詳しく見られます。
小規模宅地等の特例や死亡退職金はどう違う?
税金の面で差が出やすいのが、土地の特例と死亡退職金です。
| ケース | 使える可能性がある制度 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 個人で土地を持ち、アパートを貸していた | 貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減額) | 相続開始前3年以内に貸付を始めた土地は原則対象外 |
| 父の土地を会社に貸し、会社がアパートを経営 | 貸付事業用宅地等になる可能性 | 会社の事業が不動産貸付業なので、特定同族会社事業用宅地等(400㎡まで80%)は使えない |
| 会社から遺族に死亡退職金が出る | 死亡退職金の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数) | 個人の大家は自分に退職金を出せない |
例えば、母と子2人が相続人なら、死亡退職金の非課税枠は1,500万円です。会社から死亡退職金1,500万円を相続人が受け取っても、その分は相続税の対象になりません。
ただし、死亡退職金の額は会社の規程や株主総会などの決め方に沿って決めるものです。思いつきで金額を決めると後で説明がつかなくなるので、規程があるかを先に確認しておきましょう。
『会社の土地なら80%減額になるはず』と思い込んでいる方もいます。実は、アパート経営のような不動産貸付業の会社は、80%減額の対象から外れるんです。要件を満たすかは税理士に確認してみてください。
死亡退職金と相続税の関係は、会社員の夫が在職中に亡くなった時の死亡退職金と相続税でも計算の考え方を確認できます。
相続の後にやる手続きは、どう違う?
亡くなった後にやることも、個人と法人で変わります。どちらも期限があるものから順に進めていきましょう。
- 会社の定款と株主名簿で、父の株の数と役員の立場を確認する
- 後任の代表者を決め、役員の変更登記をする
- 会社が払う死亡退職金や、父への未払いの役員報酬を確認する
- 遺産分割で、株を誰が取得するか決める
- 株主名簿を書き換え、相続税の申告(10か月以内)をする
個人の大家の場合は、入居者への振込先の変更や、相続人それぞれの所得税の申告が加わります。遺産分割までの家賃の扱いは、アパート経営の親が亡くなった後の家賃の行き先で見られます。
父が会社にお金を貸していた場合は、その貸付金も相続財産になります。会社に現金がないと回収できないこともあるので、決算書の「役員借入金」の欄を見ておくと安心です。
準確定申告の期限は、どちらのケースも亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内です。個人の大家は家賃収入を、法人の大家は役員報酬などを申告します。
どんなケースなら専門家に頼むと楽?
法人化した大家の相続は、相続税の申告と会社の決算・登記が同時に動きます。株の評価、死亡退職金の決め方、役員の交代と、相続人だけで判断するのは大変ですよね。
親が元気なうちに家族で話せるなら、次の点を確かめておくと、相続の時に慌てずに済みます。
- アパートの名義は個人か会社か(登記事項証明書で確認)
- 土地と建物で名義が分かれていないか
- 会社の株を誰がどれだけ持っているか
- 会社が父から借りているお金、父が会社から借りているお金はないか
- 死亡退職金の規程や、遺言で株を渡す相手を決めているか
会社でアパートを持っている、物件が複数ある、土地は個人で建物は会社という形になっている、というケースは税理士に頼むと楽です。相続税申告の実績と、会社の税務の両方に慣れた税理士なら、まとめて見てもらえます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
これから法人化すれば、相続税は安くなりますか?
会社の作り方や物件の移し方で結果が変わり、移す時に税金がかかることもあります。相続税だけで決めず、手間や費用も含めて税理士に相談してみてください。
法人のアパートも相続登記が必要ですか?
アパートの名義が会社なら、所有者は会社のままなので相続登記は要りません。代わりに株主名簿の書換えと、役員が変わる場合の変更登記が必要です。
個人の大家だった父の青色申告は、相続人が引き継げますか?
青色申告の承認は引き継がれないので、事業を続ける相続人が自分で申請します。期限が短いので、早めに税務署か税理士に確認しておきましょう。
まとめ
- 個人の大家は土地・建物を、法人化した大家は会社の株を相続する
- 法人のアパートは株の評価になり、家賃は会社に入り続ける
- 不動産貸付業の会社は、特定同族会社事業用宅地等(80%減額)の対象外
- 法人なら死亡退職金を出せて、非課税枠は500万円 × 法定相続人の数
- 法人は役員の変更登記と株主名簿の書換え、個人は相続登記と所得税の申告が加わる




