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生活保護を受けている最中に、親や兄弟が亡くなって遺産が入ることになった。『受け取ったら保護を打ち切られるの?』『少しなら黙っていてもばれないのでは?』と不安になりますよね。
結論から言うと、遺産を相続したら金額にかかわらず福祉事務所に届け出る必要があります。そのうえで、遺産の額によって「その月の保護費が減る」「しばらく停止になる」「受け取った保護費の一部を返す」と結論が分かれます。
この記事では、遺産の額や中身ごとに、生活保護がどうなるかをケースで比べていきます。
遺産が入ったら、生活保護はどうなる?
生活保護を受けている人が遺産を相続したら、まず担当のケースワーカーに届け出ます。少額なら収入として扱われて保護費が調整され、生活できるだけの額なら保護の停止や廃止になります。亡くなった日以降に受けた保護費について、返還を求められることもあります。
生活保護法では、受給している人は収入や生計の状況が変わった時に、速やかに福祉事務所へ届け出る義務があります(第61条)。遺産が入るのは、まさに「収入の変動」にあたるんです。
また、生活保護は「使える資産はまず生活のために使う」ことが前提の制度です(第4条)。相続した預金や不動産も、この「使える資産」に入ります。
例えば、こんなやり取りがよくあります。
「父の遺産で200万円入るみたいなんですが、言わないといけませんか?」
「はい、入る前の段階でも一度相談しておくと、手続きがスムーズですよ」
この相談は早いほど、あとで慌てずに済みます。
50万円・200万円・500万円ではどう違う?
『遺産が100万円程度なら、保護には影響しないのでは?』と思う方も多いはずです。実は、額の大小で「届け出が要るかどうか」は変わりません。変わるのは、その後の扱いです。
下の表は、例えば、単身で生活保護を受けている人が、亡くなった親の預金を相続するケースです。どの額になるとどう扱われるかは、世帯の最低生活費や福祉事務所の判断で変わるので、目安の見方として読んでみてください。
| ケース | 主な扱い | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 預金50万円を相続 | 収入として扱われ、保護費が調整される | 少額でも届け出は必要。黙っていると後で全額が問題になる |
| 預金200万円を相続 | 生活費として使う間、保護が停止になることがある | 最低生活費の何か月分にあたるかで判断される |
| 預金500万円を相続 | 保護の廃止や、亡くなった日以降の保護費の返還を求められることがある | 返す額は福祉事務所が決める(第63条) |
| 実家の土地建物を相続 | 住んでいない家なら売却して生活費にあてるよう求められることがある | 住んでいる家は持ち続けられる場合もある。個別に相談を |
| 遺産より借金が多い | 相続放棄を考える場面 | 放棄は家庭裁判所への申述。期限は3か月以内 |
返還について定めているのは、生活保護法第63条です。資力があるのに保護を受けた時は、受けた保護費の範囲で福祉事務所が決めた額を返す、という決まりなんです。
ここが大事なところです。遺産は亡くなった日に権利が生まれるので、実際にお金が振り込まれる前の期間の保護費も返還の対象として扱われることがあります。

「ばれない」と黙っていたらどうなる?
『知恵袋で、ばれなかったという話を見たけど…』という声も聞きます。ただ、福祉事務所は預金口座や資産の状況を調べる権限を持っていて、相続による名義変更や入金は後から分かることが多いんです。
届け出ずに保護費を受け続けた場合は、不正受給として扱われるおそれがあります。生活保護法第78条では、不正に受けた保護費の徴収に加えて、その額に100分の40を掛けた額以下の金額を上乗せして徴収できると定められています。
つまり、正直に届けた時より、返す額が重くなる可能性があるということです。悪質な場合は刑事罰の対象にもなります。
届け出が遅れてしまった方も、気づいた時点で相談してみてください。自分から申し出たかどうかは、その後の扱いに関わってきます。
相続放棄すれば保護は続けられる?
借金のほうが多いなら、相続放棄は有力な選択肢です。家庭裁判所に、相続を知った時から3か月以内に申述します。費用は申述人1人につき収入印紙800円と郵便切手、戸籍謄本などの取得費です。
一方で、プラスの遺産があるのに放棄する場合は注意が必要です。生活保護は使える資産を活用するのが前提なので、福祉事務所から理由を聞かれたり、受け取るよう指導されたりすることがあります。
| ケース | 放棄した時の考え方 | 注意 |
|---|---|---|
| 借金が預金より多い | 放棄して借金を引き継がないのが自然 | 放棄前に遺産を使うと放棄できなくなることがある |
| 預金だけで借金はない | 放棄すると「資産を活用していない」と見られることがある | 先にケースワーカーへ相談しておく |
| 兄弟に遺産を譲りたい | 遺産分割協議で取り分を0にするのも同じく問題になりやすい | 実質的に受け取れる財産を手放す扱いになる |
『兄に全部譲れば、保護に影響しないのでは?』と考える方もいます。気持ちは分かりますが、遺産分割協議で自分の取り分をなくすのも、福祉事務所からは資産の放棄と見られやすいんです。
なお、生命保険金で受取人が自分に指定されているものは、放棄しても受け取れます。ただ、これも収入として届け出が要る点は同じです。
遺産分割や名義変更の手続きはどう進める?
遺産分割や名義変更の手続き自体は、生活保護を受けていない人と同じです。遠方の実家が絡む場合は、親と離れて住む子どもが相続手続きを進める時の工夫も参考にしてみてください。
親が老人ホームに入っていた場合は、退去や返還金の受け取りも出てきます。老人ホームに入居していた親が亡くなった時の手続きで流れを確認できます。
相続税については、生活保護を受けている人が相続する程度の遺産なら、かからないことがほとんどです。相続税の基礎控除は、3,000万円に600万円×法定相続人の数を足した額だからです。例えば、相続人が子2人なら4,200万円までは相続税がかかりません。
- 亡くなった人の名前と亡くなった日が分かるもの
- 遺産の中身と金額が分かるメモ(通帳の写しなど)
- 遺産分割協議書の案や、ほかの相続人とのやり取り
- 借金がある場合は、その請求書や明細
遺産に土地や借金が混ざっていて、他の相続人との分け方や放棄の判断に迷う場合は、専門家に一度整理してもらうと進めやすくなります。遺産全体が大きく、相続税がかかるか分からない時も同じです。
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よくある質問
生活保護を受けていて遺産相続した時、100万円以下なら届け出なくてもいいですか?
いいえ、金額にかかわらず届け出が必要です。生活保護法第61条で、収入や生計の状況が変わった時は速やかに届け出る義務があります。
遺産相続で保護費の返還を求められるのはどんな時ですか?
遺産という資力があるのに保護を受けていたと判断された時です。生活保護法第63条にもとづき、受けた保護費の範囲で福祉事務所が決めた額を返します。
生活保護を受けている人は相続放棄できますか?
相続放棄そのものはできます。借金が多いケースでは自然な選択です。ただし、プラスの遺産を放棄する場合は資産を活用していないと見られることがあるので、先にケースワーカーへ相談しておきましょう。
まとめ
- 遺産を相続したら、額にかかわらず福祉事務所へ届け出る
- 少額なら保護費の調整、多めなら停止や廃止、返還を求められることもある
- 黙っていると不正受給として上乗せの徴収や刑事罰の対象になりうる
- 相続放棄は可能だが、プラスの遺産を手放す時は事前に相談しておく




