親の遺言書が見つかった時に最初にやることと開けてはいけない理由

親の遺言書が見つかった時に最初にやることを解説する記事のアイキャッチ

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実家の片付けをしていたら、親の字で「遺言書」と書かれた封筒が出てきた。『すぐ開けて中を見てもいいの?』と手が止まった方も多いはずです。

結論から言うと、封がしてある遺言書はその場で開けないでください。この記事では、見つかった遺言書の種類ごとに、最初に何をすればいいかが分かります。

目次

遺言書が見つかったら、まず何をする?

このケースの結論

封のある自筆の遺言書は、開けずにそのまま保管し、家庭裁判所に検認を申し立てます。封がなくても、自筆の遺言書は検認が要ります。公正証書遺言と、法務局に預けていた自筆の遺言は検認が要りません。

検認とは、家庭裁判所で相続人が立ち会い、遺言書の形や中身を確認して記録する手続きです。遺言書が後から書き換えられないようにするためのものなんです。

検認は「遺言が有効かどうか」を決める手続きではありません。検認が済んでも、遺言の効力に争いがあれば別に話し合うことになります。

見つけた日と場所は、メモに残しておくと後で説明しやすくなります。「仏壇の引き出しに入っていた」くらいの書き方で大丈夫です。

見つけてから手続きまでの流れ
  1. 封を開けずに、見つけた時のまま保管する
  2. 遺言書の種類(自筆か公正証書か、封があるか)を確かめる
  3. ほかの相続人に「遺言書が見つかった」と知らせる
  4. 自筆の遺言書なら、家庭裁判所に検認を申し立てる(収入印紙800円/通)
  5. 検認が済んだら、遺言の内容にそって名義変更などを進める

申立て先は、亡くなった人の最後の住所地を受け持つ家庭裁判所です。戸籍などの書類をそろえて申し立てると、後日、相続人に検認の日が知らされます。

検認が終わったら、遺言書に検認済証明書を付けてもらいます。費用は遺言書1通につき収入印紙150円分です。銀行の手続きや相続登記では、この証明書が付いた遺言書を使うことになります。

検認が済むまで、ほかの手続きは止めていい?

『検認が終わるまで何もできないの?』と心配になりますよね。実は、待っていられない期限もあるんです。

相続放棄の期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です。遺言の中身を見ないと放棄するか決められない時は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる道があります。

亡くなった人の所得税の準確定申告は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。検認を待つ間も、財産の一覧づくりや戸籍集めは並行して進めておきましょう。

遺言書の種類で、やることはこう変わる

見つかった遺言書がどれに当たるかで、最初の動きが変わります。わが家のケースに近いものを探してみてください。

見つかった遺言書開けていい?検認は要る?
自筆・封がしてある開けない要る
自筆・封がない中は読めるが手を加えない要る
法務局で預かってもらっていた自筆の遺言原本は法務局にある要らない
公正証書遺言(控え)開けてよい要らない

法務局の自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月10日に始まりました。親がこの制度を使っていれば、遺言書の原本は法務局にあり、検認は要りません。

公正証書遺言は、公証役場で証人2人の立ち会いのもとで作る遺言です。原本は公証役場に残っているので、家にあるのは控えです。こちらも検認は要りません。

自筆で封あり・自筆で封なし・法務局保管・公正証書の4種類ごとに、開けていいかと検認が要るかを分けたケース別の分岐表

勝手に開けてしまったらどうなる?

『もう開けちゃった…』という方もいますよね。まず安心してほしいのは、開けたからといって遺言が無効になるわけではないことです。

ただ、封のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開けることになっています。勝手に開けると、過料を科されることがあります。

もっと困るのは、ほかの相続人から疑われることです。

「本当に最初からこの中身だったの?」
「開けたのは自分だけだから、そう言われても証明できない…」

こうなると、遺言の中身そのものより「書き換えたのでは」という疑いでもめてしまいます。開けてしまった時も、そのまま検認を申し立てて、いきさつを正直に伝えましょう。

やってはいけないこと
  • 開封した遺言書に書き込みをする、ページを抜く
  • 自分に不利な遺言書を隠す、捨てる
  • 検認の前に、遺言の内容どおりに財産を動かす

遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人の資格を失う相続欠格に当たることがあります。中身が気に入らなくても、手を加えないことが大事なところです。

ほかにも遺言書があるかもしれない時は?

自筆の遺言書が1通見つかっても、別の遺言が残っている可能性はあります。例えば、親が法務局の保管制度を使っていたり、公証役場で公正証書遺言を作っていたりするケースです。

「お父さん、昔、公証役場に行ったって言ってなかった?」
「そういえば何年か前に、書類を持って出かけた日があったね」

こんな心当たりがあれば、法務局や公証役場に問い合わせて確かめておくと安心です。遺言が複数あると、日付の新しいものが優先される部分が出てきます。

遺言書の中身によって、税金と分け方はどうなる?

遺言書が見つかっても、相続税の計算や申告の期限は変わりません。亡くなった日の翌日から10か月以内です。

例えば、父が亡くなり母と子2人が相続人で、課税価格が6,000万円のケースを比べてみます。

ケース相続税注意
遺言「全財産を母に」総額120万円、母は配偶者の税額軽減で0円0円にするには申告が要る
遺言なしで法定相続分どおり総額120万円、母0円、子は各30万円遺産分割協議が要る

遺言で母がすべてを取得すると、納める税金は0円になります。ただ、配偶者の税額軽減は申告して初めて使える制度です。「税金が0円だから申告しない」とはならないので注意しておきましょう。

もう1つ、母が先に亡くなっていて、父の相続人が子2人だけのケースも見てみます。課税価格6,000万円で、遺言に「全財産を長男に」とあれば、基礎控除は4,200万円、相続税は180万円で、長男が全額を納めます。

このケースでは、何も受け取らない次男にも遺留分があります。遺言書が見つかったら、中身を兄弟で共有して、納得できるかどうかを早めに話しておきたいところです。次男が遺留分を請求して長男からお金を受け取れば、税金の負担も2人で分け直すことになります。

遺言の内容が偏っていて納得できない時は、遺留分という最低限の取り分を請求できる場合があります。詳しくは遺言書の内容が不公平な時に取れる手段で確認できます。

遺言が見つからない、または遺言に書かれていない財産がある時は、相続人全員での話し合いになります。その流れは遺言書がない時の相続の流れにまとめています。

土地がある、遺言の内容に兄弟が納得していない、申告期限が近い、というケースは税理士に頼むと楽です。遺言どおりに分けた場合の税額を早めに出しておくと、次の手続きが進めやすくなります。

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よくある質問

遺言書が2通見つかりました。どちらが有効ですか?

内容が食い違う部分は、原則として日付が新しいほうが優先されます。どちらも自筆なら、2通とも検認を申し立ててください。

遺産分割協議が終わった後に遺言書が見つかったらどうなりますか?

遺言の内容と協議の結果が違えば、分け方をやり直すことになる場合があります。相続人全員で内容を確かめ、早めに専門家に相談しましょう。

検認には相続人全員が出席しないといけませんか?

申し立てた人以外は、出席しなくても検認は行われます。欠席した相続人にも検認があったことは知らされます。

まとめ

この記事の要点
  • 封のある自筆の遺言書は開けずに保管し、家庭裁判所で検認を受ける
  • 法務局で保管していた遺言と公正証書遺言は検認が要らない
  • 勝手に開けても遺言は無効にならないが、過料や疑いの原因になる
  • 遺言で母が全財産を取得し税額0円でも、配偶者の税額軽減には申告が要る
  • 遺言書を隠したり捨てたりすると相続欠格に当たることがある
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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