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親の遺言書を開いたら、「全財産を長男に相続させる」と書かれていた。『自分には何も残らないの?』と、納得できない気持ちになるのは自然なことです。
結論から言うと、不公平な遺言でも取れる手段はあります。この記事では、わが家のケースでどの手段が使えて、いくら取り戻せる可能性があるかが分かります。
不公平な遺言書に納得できない時、何ができる?
子や配偶者なら、遺留分という最低限の取り分をお金で請求できます。相続人と遺言で財産をもらう人の全員が合意すれば、遺言と違う分け方にすることもできます。遺言の書き方に不備がある時などは、無効を主張する道もあります。兄弟姉妹には遺留分がありません。
取れる手段は、大きく分けて3つです。
| 手段 | 使える人・場面 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 遺留分侵害額請求 | 兄弟姉妹以外の相続人 | 知った時から1年で消滅。お金で請求する |
| 全員の合意で分け直す | 相続人と遺言で財産をもらう人全員が納得した時 | 1人でも反対すれば使えない |
| 遺言の無効を主張する | 書き方の不備や、作った時の判断能力に疑いがある時 | 話し合いで決まらなければ裁判所の手続きになる |
このうち、子や配偶者がまず考えたいのが遺留分の請求です。遺言の内容そのものはひっくり返せなくても、取り分の一部をお金で取り戻せるんです。
遺言の無効を主張できるのはどんな時?
『こんな遺言、親が本当に書いたの?』と疑いたくなることもありますよね。ただ、内容が偏っているだけでは無効になりません。
無効が問題になりやすいのは、自筆の遺言の書き方に不備がある時です。自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書き、押印するのが決まりです。
- 本文が親の手書きか(財産目録だけはパソコンや通帳のコピーでもよい)
- 日付が書かれているか
- 氏名が自書され、押印があるか
- パソコンで作った財産目録の各ページに署名と押印があるか
作った時に親が内容を理解できる状態だったかが争われることもあります。この場合は、話し合いで決まらなければ裁判所の手続きで判断することになり、時間もかかります。
全員の合意で分け直すのはどんな時?
兄弟の仲がそれほど悪くなく、遺言をもらった側も「さすがに偏りすぎ」と感じているケースもあります。
「父さんの気持ちは分かるけど、全部は多すぎるよな」
「じゃあ、預金は2人で分けて、家は兄さんが取るのはどう?」
こんなふうに全員が納得できれば、遺産分割協議書を作って分け直す道があります。遺留分の請求より、関係を保ちやすい方法です。
遺留分はいくら請求できる?
『遺留分って、実際いくらになるの?』と思いますよね。遺留分は、遺産全体のうち2分の1(親などの直系尊属だけが相続人なら3分の1)を、法定相続分で分けた額です。
| ケース | 遺言の内容 | 請求できる遺留分 |
|---|---|---|
| 母が先に他界・子2人・遺産6,000万円 | 全財産を長男に | 次男は1,500万円(全体の4分の1) |
| 父が亡くなり母と子2人・遺産8,000万円 | 全財産を母に | 子は各1,000万円(全体の8分の1) |
| 子のいない夫婦・夫の兄2人 | 全財産を妻に | 兄には遺留分がないので請求できない |
1つ目のケースなら、次男の法定相続分は2分の1です。遺留分は全体の2分の1 × 2分の1で4分の1、つまり1,500万円を長男に請求できます。
2つ目のケースでは、子の法定相続分は各4分の1です。遺留分は2分の1 × 4分の1で8分の1、つまり各1,000万円になります。

3つ目の子のいない夫婦のケースは、兄弟姉妹に遺留分がありません。夫が「全財産を妻に」と遺言を残していれば、夫の兄弟は何も請求できないんです。
親が生前に誰かへまとまった贈与をしていた時は、遺留分の計算の土台が変わることがあります。贈与の記録も一緒に確かめておきましょう。
なお、2019年7月1日以降に開始した相続では、遺留分はお金で請求します。「実家の土地を半分よこせ」ではなく、「遺留分に当たるお金を払って」という請求になります。
遺留分を請求する時の期限と進め方
遺留分の請求には期限があります。ここが大事なところです。
相続の開始と、遺留分を侵害する遺言や贈与があったことを知った時から1年で消滅します。知らなかったとしても、相続開始から10年で請求できなくなります。
1年は意外とすぐです。四十九日や納骨が終わって気持ちが落ち着いた頃には、半年以上たっていることも。
- 遺産の全体と、遺言の内容を確かめる
- 自分の遺留分の額を計算する
- 財産を多くもらった人に、請求する意思を伝える(記録が残る方法で)
- 話し合いで支払い額と時期を決める
- まとまらなければ、家庭裁判所の調停を申し立てる
請求の意思は、後で「言った・言わない」にならないよう、日付が残る形で伝えておくのが安心です。
「兄さん、遺言のことは分かったけど、遺留分の分は払ってほしい」
「急に言われても、現金がないんだよ。実家を売るしかないのか…」
こんなふうに、財産のほとんどが自宅だと、払う側にお金がなくて話が止まることもあります。支払いの時期や分割について、現実的な落としどころを一緒に考えてみてください。
親の介護を担ってきたのに報われない、という不満もありますよね。相続人の間なら寄与分、相続人でない親族(例えば長男の妻)なら特別寄与料という考え方があります。違いは遺留分と寄与分の違いで詳しく確認できます。
遺留分を受け取ったら、相続税はどうなる?
遺留分の請求で財産の取り分が変わると、相続税の負担も変わります。1つ目のケースで計算してみます。
母が先に亡くなり、子2人が相続人で課税価格6,000万円なら、基礎控除は4,200万円で、相続税の総額は180万円です。
| 取り分 | 長男の税額 | 次男の税額 |
|---|---|---|
| 遺言どおり長男が全部 | 180万円 | 0円 |
| 次男が遺留分1,500万円を受け取った後 | 135万円 | 45万円 |
最初に長男が180万円を納めていた場合、遺留分の支払いが決まった後に、長男は払いすぎた分を取り戻す手続き(更正の請求)ができます。次男は受け取った分について申告が要ることがあります。
2つ目のケースで、母が全財産を取得するなら、相続税の総額は350万円ですが、配偶者の税額軽減で納める税金は0円です。子が遺留分として各1,000万円を受け取ると、子はそれぞれ43万7,500円を納めることになります。
このように、遺留分の話がまとまると税金の計算もやり直しになります。払いすぎた相続税が戻るケースは払いすぎた相続税が戻ってくるケースにまとめています。
遺産に土地がある、遺留分の額で兄弟の意見が合わない、申告期限の10か月が近い、というケースは税理士に頼むと楽です。財産の評価と税額をはっきりさせると、請求する額の根拠にもなります。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
遺言書が不公平なら、遺言そのものを無効にできますか?
不公平というだけでは無効になりません。自筆の遺言に日付や署名がないなど書き方に不備がある時や、作った時の判断能力に疑いがある時に、無効を主張できる場合があります。
相続人全員が納得すれば、遺言と違う分け方にできますか?
相続人と遺言で財産をもらう人の全員が合意すれば、遺言と違う分け方にできる場合があります。遺言で分け方の変更を禁じている時や、遺言執行者がいる時は、専門家に確認してから進めましょう。
遺留分を請求すると、兄弟仲が悪くなりませんか?
心配になりますよね。感情的なやりとりを避けたい時は、家庭裁判所の調停で第三者に入ってもらう方法もあります。期限の1年だけは意識しておきましょう。
まとめ
- 子や配偶者なら、不公平な遺言でも遺留分をお金で請求できる
- 兄弟姉妹には遺留分がない
- 子2人・遺産6,000万円で長男に全部なら、次男の遺留分は1,500万円
- 遺留分の請求は、知った時から1年・相続開始から10年で消滅する
- 遺留分の支払いが決まったら、相続税の負担も分け直しになる




