借地に建つ家を相続した場合に地主へ連絡する手続きと伝え方

借地に建つ家を相続した時に地主へ連絡する手続きをケース別に紹介する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

亡くなった親の家が借地の上に建っていると分かって、『地主さんに何を言えばいいの?』と不安になっていませんか。地代の振込も止められないし、急いだほうがいいのか迷いますよね。

結論から言うと、相続で借地権を受け継ぐのに地主の承諾は要りません。ただ、連絡はしておくのがおすすめです。この記事では、あなたのケースで何を伝えればいいかが分かります。

目次

借地の家を相続したら、地主の承諾は要る?

このケースの答え

相続人が借地の家を相続するなら、地主の承諾も名義書換料も要りません。地主には「借主が亡くなったこと」「誰が引き継ぐか」「地代の支払いをどうするか」を伝えれば十分です。一方で、相続した家を売る時や、遺言で相続人以外の人に渡す時は、地主の承諾が必要になることがあります。

相続人は、亡くなった人の権利と義務をまとめて受け継ぎます。借地権もその中に入るので、地主と新しく契約し直す必要はないんです。

民法で地主の承諾が要るとされているのは、借地権を「譲り渡す」場合です。相続は譲渡ではないので、この承諾の対象になりません。

e-Gov法令検索「民法」第896条・第612条

ケースごとの違いを見てみましょう。

ケース地主の承諾理由・注意
父が亡くなり、母と子が実家(借地)を相続する不要相続なので承諾も名義書換料も要らない。連絡と地代の支払い方は相談
遺産分割で長男だけが実家を引き継ぐ不要相続人の間で決めたことなので譲渡には当たらない
遺言で、相続人でない孫やお世話になった人に家を渡す必要になることがある相続人以外への遺贈は譲渡と同じ扱いになる場合がある
相続した後、家を売りたい必要承諾が得られない時は、裁判所に許可を求める手続きがある
相続した後、家を建て替えたい契約による契約で増改築に地主の承諾が要ると決まっていることが多い
借地の家を相続した時に地主の承諾が要るかどうかをケースごとに分けた分岐表

地主にはいつ、何を伝える?

『連絡したら、立ち退きや値上げを言われないかな』と心配になる方もいるはずです。ただ、黙っていると、地代の入金名義が変わった時に地主が驚いてしまうことも。

四十九日が過ぎたあたりで、まずは一度連絡しておくと話がこじれにくいです。

地主への連絡の流れ
  1. 借地の契約書と、最近の地代の領収書や振込記録を探す
  2. 地主(または管理会社)に、借主が亡くなったことを伝える
  3. 誰が家を引き継ぐか、決まっていなければ決まり次第知らせると伝える
  4. 地代の振込名義や引き落とし口座の変更方法を確認する
  5. 遺産分割が終わったら、引き継ぐ人の名前で改めて連絡する

伝え方は、かしこまりすぎなくて大丈夫です。例えばこんな場面です。

「父が先月亡くなりました。家は私たち家族で引き継ぎますので、地代はこれまでどおりお支払いします」

「そうでしたか。振込の名義が変わるなら教えてくださいね」

話すのは事実と今後の支払いのことだけで十分です。契約書を作り直す、承諾料を払う、といった話をこちらから切り出す必要はありません。

名義書換料や承諾料を求められたら?

地主から「名義を変えるなら書換料を」と言われるケースもあります。相続で引き継ぐ場合は、払う義務はありません。

とはいえ、これからも長く付き合う相手です。「相続なので承諾料はかからないと聞いています」と穏やかに伝え、それでも話が平行線なら、弁護士に相談してみてください。

建物の相続登記は早めに

ここが大事なところです。借地権は、土地の上に自分名義で登記した建物があれば、地主が土地を売った時でも新しい地主に主張できます。

建物の名義が亡くなった親のままだと、いざという時に困ることがあるんです。しかも相続登記は2024年4月1日から義務になり、知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象です。

建物の登記を誰がいつやるかは相続登記のケース別の手順で確認できます。

借地権に相続税はかかる?

『土地は地主のものだから、相続税は関係ないよね』と思われがちです。実は、借地権も相続税の対象になる財産です。

借地権の評価額は、その土地を自分の土地として評価した額に、路線価図に書かれた借地権割合を掛けて出します。都市部の路線価が高い地域では、思ったより大きな額になることも。

国税庁 No.4611 借地権の評価

ケース相続税の見通し注意
地方の借地で、ほかの財産も預金が少し基礎控除以下に収まりやすい基礎控除以下なら申告は要らない
都市部の借地で、預金や株もある基礎控除を超えることがある借地権の評価を入れ忘れると申告漏れになる
借地の家に同居していた子が相続する小規模宅地等の特例が使えることがある特例を使うなら0円でも申告が必要

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。例えば、妻と子2人が相続するなら4,800万円になります。

借地権の評価は、地代の額や契約の中身で変わる部分があり、自分で計算するのは手間がかかります。都市部の借地がある、同居していた子が引き継ぐ、相続人が多い。こうしたケースは、税理士に評価と特例が使えるかを確認してもらうと安心です。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう

(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

相続税の申告が必要になった時の進め方は相続税申告のケース別手順で、納付の段取りは相続税の納付方法の記事で確認できます。

よくある質問

借地の家を相続したら、地主と契約書を作り直す必要がありますか?

相続で引き継ぐ場合は、今の契約がそのまま続きます。地主から求められた場合でも、内容が今までと同じかをよく確認してから応じましょう。

地代はいつから誰が払えばいいですか?

亡くなった後も地代は発生します。遺産分割が終わるまでは相続人の誰かが立て替えて払い、引き継ぐ人が決まったら名義を変えるのが一般的です。

借地の家を相続したくない場合はどうすればいいですか?

ほかの財産もまとめて手放すなら、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述をします。借地だけを手放したい場合は、相続した後に地主と返還や買取りを話し合う流れになります。

まとめ

この記事の要点
  • 相続人が借地権を引き継ぐのに、地主の承諾も名義書換料も要らない
  • 地主には亡くなったこと、引き継ぐ人、地代の払い方を伝えれば十分
  • 売る時や相続人以外に遺贈する時は、地主の承諾が必要になることがある
  • 借地権も相続税の対象で、建物の相続登記も早めに済ませる
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次