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実家の預金は受け取りたい。でも、田舎の田んぼや山林はいらない。『土地だけ相続放棄できないの?』と考える方も多いですよね。
結論から言うと、土地だけを選んで相続放棄することはできません。相続放棄は、預金も土地も借金も、まとめて引き継がない手続きなんです。
この記事では、農地・山林・遠方の宅地・共有持分のケースごとに、全部放棄するか、相続して手放すかの分かれ目を見ていきます。
いらない土地だけ、相続放棄できる?
例えば、父が亡くなり、子1人が預金と地方の山林を相続するケースです。山林だけを放棄することはできず、放棄すると預金も受け取れません。預金を受け取るなら、山林も含めて相続したうえで、売却や相続土地国庫帰属制度で手放す道を考えます。財産全体で借金のほうが多いなら、全部を放棄する選択になります。
相続放棄は、家庭裁判所に申述して、初めから相続人でなかったことにする手続きです。財産の一部だけを選ぶ仕組みはありません。
「山だけ放棄して、預金はもらえばいいよね」
「それができないから、全部放棄するか、全部受け取るかの二択なんです」
こんな会話になる家族も多いです。まずは土地以外の財産と借金まで並べて、全体で考えてみてください。
| ケース | 選べる方法 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 預金もあり、山林はいらない | 相続して山林を手放す | 放棄すると預金も受け取れない |
| 財産は農地だけで、借金もある | 全部を放棄する | 借金も引き継がずにすむ |
| 遠方の宅地に空き家が建っている | 相続して売る、または全部放棄 | 建物があると国庫帰属は申請できない |
| 兄弟と共有の土地の持分 | 相続して持分を手放す、または全部放棄 | 持分だけの放棄もできない |
| 祖父名義のまま放置された土地 | 相続登記をしてから手放す | 施行日前の相続も登記の義務の対象 |

土地の種類でどう変わる?農地・山林・遠方の宅地
『田舎の土地は売れないから放棄するしかない』と思いがちですよね。ただ、土地の種類によって手放し方の選択肢は変わります。
田んぼや畑などの農地
農地は、買い手が農業をする人などに限られ、売るのに手続きがかかることが多いです。近所の農家や親戚に引き取ってもらえないか、まず聞いてみましょう。
相続土地国庫帰属制度は農地も対象です。審査手数料は土地1筆14,000円で、承認されると負担金を納めます。負担金は原則20万円で、農地の一部は面積で計算されます。
山林
山林は境界がはっきりしないことも多く、売るのが難しい土地の代表です。国庫帰属制度は山林にも使えますが、担保権がある土地などは申請できません。
山林のほかに預金や自宅もあるなら、放棄よりも、相続してから手放す道を考える場面です。
遠方の宅地と空き家
遠方の宅地に家が建っているケースです。建物がある土地は、国庫帰属制度を申請できません。
使わない実家なら、相続して売る方法があります。1981年5月31日以前に建てられた家などを売る場合は、空き家の3,000万円特別控除を使える場合もあります。
空き家そのものを放棄した後どうなるかは、空き家を相続放棄したケース別の結末でくわしく見られます。
兄弟と共有している土地の持分
亡くなった父が、叔父と半分ずつ土地を持っていたケースです。『父の持分だけ放棄したい』と思いますよね。
ただ、この場合も持分だけを放棄することはできません。放棄するなら、父のほかの財産もまとめて放棄することになります。
相続するなら、持分を共有者の叔父に買い取ってもらえないか、まず話してみる方法があります。共有者が身内なら、話が早いことも多いんです。
祖父名義のまま放置された土地
実は、土地の名義が祖父や曽祖父のままになっている家も少なくありません。父が亡くなって初めて、そのことに気づくケースです。
この土地も、父の相続と一緒に考えます。相続登記の義務は施行日前の相続も対象で、2027年3月31日まで、または知った日から3年以内の遅いほうが期限です。
名義が何代も前のままだと、相続人が親戚中に広がっていることがあります。手放すにも、まず名義を整えるところからになるので、時間がかかると見ておきましょう。
放棄した土地はどうなる?だれが管理する?
『放棄すれば、もう土地のことは考えなくていい』と思いますよね。実は、そうとも限らないんです。
放棄すると、次の順位の人が相続人になります。子が全員放棄すれば父母などへ、さらに兄弟姉妹へと移ります。いらない土地が、叔父叔母の手に渡ることもあるわけです。
放棄が誰に回るかは兄弟に相続が回るケース別の流れで確認できます。
占有している土地には保存義務が残る
2023年4月の改正で、放棄しても、現に占有している財産は、相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存する義務があるとされました。
例えば、亡くなった親の家の畑を自分が耕していたケースです。この場合は、放棄した後もしばらく畑の管理が続くことがあります。
全員が放棄したら
相続人が全員放棄すると、相続人がいなくなります。この場合は、家庭裁判所が相続財産清算人を選ぶことがあります。
清算人が選ばれるまでの流れは相続財産清算人が必要になるケースで確認できます。
相続して手放すなら、何から始める?
土地以外の財産もあり、相続すると決めたケースです。手放すまでの流れを先に押さえておきましょう。
- 土地以外の財産と借金を書き出し、放棄しないと決める
- 遺産分割協議で、その土地を誰が引き継ぐか決める
- 取得を知った日から3年以内に相続登記をする
- 近所や親戚への売却、不動産会社への相談を試す
- 売れなければ相続土地国庫帰属制度の申請を考える
相続登記は2024年4月から義務になっています。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。祖父名義のまま放置された土地も、施行日前の相続として対象になります。
登記の手順は相続登記のケース別の手順で確認できます。
相続税がかかる家では、土地の評価もからむ
預金や自宅がまとまってあり、相続税がかかるケースもあります。いらない山林や農地も、相続税の計算では財産に入ります。
土地は、市街地なら路線価方式、それ以外は倍率方式で評価します。売れない土地でも評価額がつくので、相続税の額に影響するんです。
自宅と農地や山林が混ざっていて、相続税がかかりそうなケースは、土地の評価に慣れた税理士に相談すると、手放す順番まで含めて考えやすくなります。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
土地だけを相続放棄することはできますか?
できません。相続放棄は財産も借金もまとめて引き継がない手続きで、特定の財産だけを選ぶことはできません。土地だけを手放したいなら、相続したうえで売却や国庫帰属制度を考えます。
相続土地国庫帰属制度の費用はいくらですか?
審査手数料が土地1筆14,000円で、承認後に負担金を納めます。負担金は原則20万円で、宅地や農地の一部は面積で計算されます。
相続放棄した土地はどうなりますか?
次の順位の人が相続人になります。全員が放棄すると相続人がいなくなり、家庭裁判所が相続財産清算人を選ぶことがあります。放棄した人も、現に占有している土地は引き渡すまで保存する義務があります。
まとめ
- 土地だけを選んで相続放棄することはできない。放棄は全部か、何もしないかの二択
- 預金など欲しい財産があるなら、相続してから土地を手放す道を考える
- 農地・山林は国庫帰属制度も使える。建物がある土地や担保権がある土地は申請できない
- 放棄すると次の順位の親族に相続権が移り、占有している土地には保存義務が残る
- 相続した土地は3年以内に相続登記をする




