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葬儀社から見積もりを受け取って、『この金額、結局だれが払うの?』と戸惑っている方も多いはずです。兄弟がいると、なおさら言い出しにくいですよね。
結論から言うと、葬儀費用を誰が払うかは法律で決まっていません。喪主が払う、遺産から出す、兄弟で分けるのどれでもよく、家族の話し合いで決めます。
この記事では、払い方ごとの注意点と、相続税の計算で葬儀費用を差し引いた時に税額がどれくらい変わるかが分かります。
葬儀費用は誰が払う?3つのケースで比べると
葬儀費用を払う人に法律上の決まりはなく、喪主が立て替える、遺産から出す、兄弟で分けるのいずれかを家族で決めます。どの払い方でも、実際に負担した相続人は相続税の計算で葬式費用を差し引けます。ただし香典返し・四十九日などの法要・墓石の購入費は差し引けません。
よくある払い方を3つ並べてみます。
| ケース | 向いている家 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 喪主(長男など)が立て替える | 遺産分割まで時間がかかりそうな家 | 後で遺産から精算するなら、兄弟と先に合意しておく |
| 親の預金から払う | 預金がある程度ある家 | 凍結後は仮払い制度で1つの銀行ごとに上限150万円 |
| 兄弟で分けて払う | 遺産が少ない家、相続放棄を考えている家 | 割合を決めて、領収書の写しを全員で持つ |
『長男だから全部払うべき?』と悩む方もいますが、そんな決まりはありません。大事なのは、誰がいくら出したかを全員が分かる形で残すことなんです。

遺産から葬儀費用を出してもいい?
親の預金で葬儀代を払う家は多いです。ただ、口座が凍結されると、遺産分割が終わるまで自由には下ろせません。
凍結後に使えるのが、預貯金の仮払い制度です。1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額 × 3分の1 × その相続人の法定相続分」まで、上限150万円で1人でも払い戻せます。
例えば、子2人が相続するケースで、親の口座に900万円あれば、子1人が下ろせるのは150万円です。凍結の時期や仮払いの流れは、親の銀行口座はいつ凍結されるかで詳しく見られます。
気をつけたいのは、親に借金があるかもしれないケースです。
遺産を使うと、相続を認めたとみなされて相続放棄ができなくなることがあります。葬儀代として常識的な範囲かどうかが問われるので、放棄を考えているなら、使う前に家庭裁判所や専門家に確認しておきましょう。
凍結前に下ろしてしまった場合の扱いは、凍結前に引き出したらどうなるかにまとめています。
兄弟で負担を分ける時は何を決めておく?
兄弟で払うなら、葬儀の前か直後に話しておくのが一番もめません。
「お兄ちゃんが喪主だから、全部払ってくれるんでしょ?」「いや、後で遺産から返してもらうつもりだよ」。こんな食い違いは、言葉にしていないだけでよく起きます。
- 葬儀代をいったん誰が払うか(立て替える人)
- 後で遺産から精算するのか、兄弟の負担で終わりにするのか
- 兄弟で分けるなら、均等にするか、取り分に合わせるか
- 香典を葬儀代に充てるのか、喪主が受け取るのか
- 領収書・請求書の原本を誰が持つか
香典をどう扱うかは、意外ともめやすいところです。葬儀代に充てるのか、喪主のものにするのかを決めておくと、後の遺産分割の話し合いが楽になります。
分け方で迷ったら、遺産の取り分に合わせる方法もあります。例えば、実家を継ぐ長男が遺産を多く受け取るなら、葬儀代も長男が多めに持つ、という考え方です。
逆に、遺産がほとんどなく、兄弟の誰かが相続放棄を考えているケースもあります。その場合は遺産から出すより、兄弟の手持ちから出し合う方が、放棄への影響を心配せずに済みます。
決めた内容は、メモでもいいので残しておきましょう。後で遺産分割協議書を作る時に、精算の書き方をそのまま使えます。
相続税の計算で差し引ける費用・差し引けない費用
葬儀費用は、相続税の計算で「葬式費用」として課税価格から差し引けます。差し引けるのは、実際にその費用を負担した相続人です。
ただ、葬儀にまつわる支払いが全部入るわけではありません。
| 費用 | 差し引ける? |
|---|---|
| 通夜・告別式の費用(葬儀社への支払い) | 差し引ける |
| 火葬・納骨にかかった費用 | 差し引ける |
| お寺へのお布施・戒名料 | 差し引ける |
| 香典返し | 差し引けない |
| 四十九日などの法要 | 差し引けない |
| 墓石・墓地の購入費 | 差し引けない |
お布施は領収書が出ないことがありますよね。その時は、支払った日・相手・金額をメモにして残しておけば大丈夫です。
なお、墓地や墓石・仏壇などは相続税がかからない財産です。とはいえ、購入費を葬式費用として差し引くこともできません。
葬式費用を差し引くと、税額はいくら変わる?
差し引けるかどうかで、納める額は変わります。2つのケースで見てみます。
1つ目は、母がすでに亡くなっていて、父の財産4,400万円を子2人が法定相続分どおりに相続するケースです。葬式費用は200万円としています。
| ケース | 課税価格の合計 | 基礎控除 | 納付額の合計 |
|---|---|---|---|
| 葬式費用200万円を差し引いた | 4,200万円 | 4,200万円 | 0円 |
| 差し引かなかった | 4,400万円 | 4,200万円 | 20万円 |
基礎控除の4,200万円ちょうどになり、相続税はかかりません。基礎控除以下なので申告も要りません。
2つ目は、父の財産6,000万円を、母と子2人が法定相続分どおりに相続するケースです。葬式費用は150万円とします。
| ケース | 課税価格の合計 | 相続税の総額 | 納付額の合計 |
|---|---|---|---|
| 葬式費用150万円を差し引いた | 5,850万円 | 105万円 | 52万5,000円 |
| 差し引かなかった | 6,000万円 | 120万円 | 60万円 |
母の分は配偶者の税額軽減で0円になり、納付額は子2人の分です。ただ、配偶者の税額軽減を使うには申告が必要なので、0円でも申告書は出します。

葬儀のあとに請求できるお金も確認しておこう
葬儀を出した人は、加入していた健康保険から葬祭費や埋葬料を受け取れることがあります。請求できるのは2年以内です。
金額は加入していた保険で違うので、市区町村の窓口や勤め先の健康保険に問い合わせてみてください。
国民健康保険や後期高齢者医療に入っていた場合は、資格喪失の届けを14日以内に出すことになっています。その手続きの時に、葬祭費の請求も一緒に済ませておくと二度手間になりません。
『葬儀が終わったら一段落』と思いがちですが、お金の手続きはむしろここからなんです。
財産に土地があって評価が分かりにくい、相続人が多くて葬儀代の精算も含めて話がまとまりにくい。こんなケースでは、申告まで税理士に任せると、葬式費用の線引きも含めて見てもらえます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
喪主が葬儀費用を払わないといけない決まりはありますか?
法律で決まった負担者はいません。喪主が払う家が多いですが、遺産から出す、兄弟で分けるなど、家族の話し合いで決めて大丈夫です。
香典返しは相続税の計算で差し引けますか?
差し引けません。四十九日などの法要や墓石の購入費も葬式費用に入らないので、葬儀社への支払いと分けて記録しておきましょう。
相続税がかからない家でも、葬儀費用の領収書は取っておくべきですか?
取っておくのがおすすめです。兄弟で精算する時の根拠になりますし、後から財産が見つかって申告が必要になった時にも使えます。
まとめ
- 葬儀費用を誰が払うかは法律で決まっておらず、家族で決める
- 遺産から出すなら、凍結後は仮払い制度で1つの銀行ごとに上限150万円
- 実際に負担した相続人は、相続税の計算で葬式費用を差し引ける
- 香典返し・法要・墓石の購入費は差し引けない





