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葬儀と役所の届出がひと段落して、1か月。『そろそろ相続のことも始めないと』と思いつつ、何から手をつければいいか迷いますよね。
結論から言うと、1か月の時点で始めたいのは「遺言書の確認」「戸籍集め」「財産と借金の洗い出し」の3つです。遺産を分ける話し合いは、その材料がそろってからで間に合います。
この記事では、1か月時点のやることと順番が、家のケース別に分かります。
亡くなって1か月、相続は何から始めればいい?
例えば、父が亡くなり母と子2人が相続するケースで、遺産が自宅と預金で4,500万円ほどなら、基礎控除4,800万円の内側なので相続税の申告は要りません。この家は、遺言書の確認と戸籍集めを済ませ、四十九日の頃に分け方を話し合う流れで十分です。相続税がかかりそうな家や、借金がありそうな家は、もう少し急いだほうがいいものがあります。
葬儀の後の役所の届出(年金の停止や健康保険の資格喪失など)は、14日以内が目安でした。まだ済んでいないものがあれば、相続の準備と並行して片づけておきましょう。
1か月の時点で、ほかの期限までの残り時間を数えてみましょう。
| 期限のある手続き | 期限 | 1か月時点の残り |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 相続の開始を知った時から3か月以内 | 約2か月 |
| 亡くなった人の所得税の申告(準確定申告) | 知った日の翌日から4か月以内 | 約3か月 |
| 相続税の申告・納付 | 知った日の翌日から10か月以内 | 約9か月 |
| 相続登記 | 取得を知った日から3年以内 | 分け方が決まってから |
『9か月もあるなら、まだ先でいいか』と思いますよね。ただ、相続放棄の期限は残り2か月ほど。借金があるかどうかだけは、早めに見ておきたいところです。
相続税がかからない家・かかりそうな家・借金がありそうな家
1か月時点で急ぐものは、家の状況で変わります。数字は計算ツールで検算した金額です。
| ケース | 1か月時点で急ぎたいこと | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 妻と子2人・自宅と預金で4,500万円 | 遺言書の確認と戸籍集め | 基礎控除4,800万円以下で相続税はかからず、申告も不要 |
| 子2人・自宅の土地3,000万円と預金2,000万円 | 財産の評価の準備と、税理士への相談 | 基礎控除4,200万円を超え、納付は合計80万円。同居の子が自宅を取得して特例を使えれば0円になるが申告は必要 |
| 借金やローンがありそうな家 | 財産と借金の洗い出しを最優先 | 相続放棄の期限まで残り約2か月 |
2つ目のケースは、相続税の申告が要るかどうかで段取りがまったく違います。
小規模宅地等の特例を使えば、自宅の土地は330㎡まで評価を80%減らせます。土地3,000万円なら600万円で計算でき、合計2,600万円で基礎控除の内側に収まります。ただ、特例は申告して初めて使えるので、0円でも申告が必要なんです。
特例の要件(同居しているか、持ち家があるかなど)を満たすかは、税理士に確認しておきましょう。
わが家が相続税の対象になりそうかは、相続税を払う人の割合と判定の目安で先に見ておくと迷いません。

1か月時点のやること、順番はこうする
どのケースでも、やることの中身はほぼ同じです。順番だけ押さえておけば、迷わず進められます。
- 遺言書があるかを確かめる
- 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を確定する
- 預金・不動産・株・保険と、借入金を一覧にする
- 法務局で法定相続情報一覧図の写しをもらう
- 準確定申告が必要かを確認する
遺言書があるかを確かめる
遺言書があると、分け方の話し合いの前提が変わります。だから最初に確かめておきたいんです。
自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)は、家庭裁判所の検認が必要です。収入印紙は1通800円です。法務局に預けてあった遺言書や、公正証書遺言は検認が要りません。
『親が遺言書を書いていたか分からない』という時は、法務局や公証役場に問い合わせる方法もあります。
戸籍を集めて相続人を確定する
相続の手続きでは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
2024年3月1日からは、本籍地以外の市区町村の窓口でも、親や子などの戸籍をまとめて請求できるようになりました。郵送や代理人での請求はできないので、本人が窓口に行きます。
戸籍を集めると、思わぬ相続人が見つかることもあります。例えば、前の結婚で生まれた子も相続人です。
「お父さんに、前の奥さんとの子どもがいたなんて知らなかった」
「その人にも連絡しないと、話し合いが始められないんだね」
遺産分割の話し合いは相続人全員の合意が必要なので、この確認は欠かせません。
法定相続情報一覧図をもらっておく
戸籍がそろったら、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を交付してもらいましょう。無料です。
『戸籍の束を、銀行ごとに出し直すのかと思っていた』という方も多いはずです。一覧図の写しは必要な枚数をもらえるので、同時にいくつかの銀行で手続きを進めることもできます。
銀行・相続登記・相続税の申告で、戸籍の束の代わりに使えます。手続きする先が多い家ほど、時間と手間が減ります。
財産と借金の洗い出しで見落としやすいところ
一覧を作る時は、通帳や郵便物を手がかりにします。
- ネット銀行・ネット証券の口座(紙の通帳がない)
- 家族名義だけれど、亡くなった人がお金を入れていた預金
- 亡くなる前の一定期間に相続人がもらった贈与(従来は3年以内。2027年1月以降の相続から段階的に延び、2031年1月以降の相続で7年になる)
- 連帯保証人になっていた借金
- カードの分割払いや未払いの税金
家族名義の預金でも、実質が亡くなった人のお金なら名義預金として相続財産になります。
一方、借入金や未払いの税金、葬式費用は遺産から差し引けます。香典返しや四十九日などの法要の費用は葬式費用に入らない点に気をつけてください。
洗い出してみて借金のほうが多そうなら、相続放棄を考えます。財産を処分したり使ったりすると、放棄ができなくなることがあるので、それまでは手をつけずにおきましょう。
自宅の土地がある、株や複数の口座があって相続税がかかりそう、相続人が多く遠方に住んでいる、というケースは、この1か月の時点で税理士に頼むと楽です。財産の評価から申告までの段取りを、期限から逆算して組めます。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
四十九日の法要で家族が集まった時の話の進め方は、四十九日までの相続の準備と話し合いの切り出し方を参考にしてみてください。
よくある質問
1か月たっても、まだ何も手をつけていなくて大丈夫ですか?
大丈夫です。相続税の申告は知った日の翌日から10か月以内です。ただ、相続放棄の期限は3か月以内なので、借金がありそうかどうかだけは早めに確かめておきましょう。
準確定申告は誰でも必要ですか?
亡くなった人の所得の状況で、必要かどうかが変わります。期限は知った日の翌日から4か月以内なので、税務署や税理士に早めに確認してみてください。
遺言書が見つかったら、すぐに開けてもいいですか?
自分で書いた遺言書は家庭裁判所の検認が必要です。見つけた状態のまま保管し、検認の手続きを進めてください。法務局に預けたものや公正証書遺言は検認が要りません。
まとめ
- 1か月時点は「遺言書の確認」「戸籍集め」「財産と借金の洗い出し」から始める
- 相続放棄の期限は残り約2か月、借金の有無は早めに確かめる
- 妻と子2人で4,500万円なら申告不要、子2人で5,000万円なら納付80万円
- 戸籍は2024年3月から本籍地以外の窓口でもまとめて請求できる
- 法定相続情報一覧図の写しは無料で、手続き先が多い家ほど便利





