亡くなって1年たっても相続手続きをしていない時の困りごと

亡くなって1年たっても相続手続きをしていない時の困りごとを解説する記事のアイキャッチ

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一周忌が近づいて、ふと『そういえば相続の手続き、何もしていない』と気づいた。そんな方も少なくないですよね。

結論から言うと、1年たった時点で取り返しがつかなくなることは多くありません。ただ、相続税の期限はすでに過ぎていて、実家の名義変更には期限がある。この2つだけは急いだほうがいいんです。

この記事では、あなたの家の状況ごとに、1年放置で何が困るのかと、今からの立て直し方をお伝えします。

目次

1年たった今、わが家はどうなっている?

このケースではこうなる

例えば、父が亡くなって1年、母と子2人が相続人で、実家の名義も父の預金もそのままのケースです。遺産が基礎控除以下なら相続税の心配はありませんが、実家の相続登記は「取得を知った日から3年以内」が期限なので、残りは長くありません。遺産が基礎控除を超える家は、相続税の申告期限(10か月)をすでに過ぎているので、すぐに期限後申告の準備が必要です。

亡くなってから1年の時点で、相続にかかわる主な期限は次のように進んでいます。

手続き期限1年後の状態
相続放棄・限定承認相続の開始を知った時から3か月以内過ぎている(原則として相続を受け入れた扱い)
準確定申告(亡くなった人の所得税)相続の開始を知った日の翌日から4か月以内過ぎている
相続税の申告・納付相続の開始を知った日の翌日から10か月以内過ぎている
相続登記不動産の取得を知った日から3年以内まだ間に合う
遺留分侵害額の請求相続開始と侵害を知った時から1年ちょうど期限の頃

『え、もうそんなに過ぎてるの?』と驚いた方もいるはずです。ただ、慌てなくて大丈夫です。今から手を付けられることはたくさんあります。

遺留分の請求期限が気になるのは、遺言で取り分が極端に少なくされた相続人がいる家です。遺言がなく、みんなで話し合って分ける家なら、ここは気にしなくて構いません。

逆に、自分の取り分が少ない遺言があって納得できない方は、時効が迫っている可能性があります。1年は「相続開始と侵害を知った時から」なので、早めに弁護士に相談してみてください。

1年放置で困ること、家のケースで違う?

困りごとの大きさは、相続税がかかる家かどうか、不動産があるかどうかで変わります。

ケース主な困りごと理由・注意
相続税がかかる家(遺産が基礎控除超え)延滞税・無申告加算税がかかることがある10か月の期限を過ぎているので早く申告を
配偶者の軽減や特例で0円になる家申告していないと軽減や特例を受けたことにならない0円でも申告が必要
相続税がかからない、預金だけの家預金を動かせないまま相続人全員の手続きが済むまで口座は凍結のまま
実家の名義が亡くなった人のまま売る・貸す・建て替えができない相続登記の期限は3年。怠ると10万円以下の過料
相続人の1人が亡くなった話し合う人が増える亡くなった相続人の家族が加わる

例えば、預金だけの家ではこんな会話がよくあります。

「お母さんの生活費、父さんの口座から出せないの?」

「凍結されてて、名義変更しないと引き出せないみたい」

預金には仮払い制度があり、1金融機関ごとに「相続開始時の預金額×1/3×その人の法定相続分」、上限150万円まで単独で払い戻せます。当面の生活費が必要なら検討してみてください。口座凍結のタイミングは親の銀行口座はいつ凍結される?で詳しく紹介しています。

父が亡くなって1年たった家で、相続税がかかる家・0円でも申告が要る家・預金だけの家・実家の名義がそのままの家の4ケースごとに困りごとを並べた分岐表

名義変更してないまま1年、実家はどうなる?

実家の名義がそのままの家は多いですよね。2024年4月1日から相続登記は義務になりました。

期限は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月1日より前の相続も対象です。その場合は2027年3月31日まで、または知った日から3年以内の遅い方が期限です。

『でも、兄弟でまだ誰が家を継ぐか決まっていない』という家もあるはずです。そんな時は「相続人申告登記」という簡易な制度があります。自分が相続人だと申し出ることで、登記の義務を果たせるんです。

名義がそのままだと、空き家になった実家を売ろうとしても、まず相続登記から始めることになります。売りたい時にすぐ売れないのは、意外と大きな困りごとです。

登記にかかる登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%です。固定資産税の通知書を手元に用意しておくと、費用の見当がつきます。

1年の放置から立て直す手順

今から動くなら、期限が過ぎたものと、これから来るものを分けて考えると進めやすいです。

1年たった家の立て直し方
  1. 遺産の一覧を作る(預金・不動産・株・保険・借金)
  2. 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるか確かめる
  3. 超える、または特例で0円にしたい家は、期限後申告の準備を始める
  4. 相続人全員で遺産の分け方を話し合い、遺産分割協議書を作る
  5. 不動産の相続登記を3年の期限内に済ませる
  6. 預金の解約・名義変更を金融機関ごとに進める

戸籍集めは、2024年3月1日から始まった広域交付を使うと楽です。本籍地以外の市区町村窓口でも、本人・配偶者・父母・子などの戸籍をまとめて請求できます。

さらに、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を無料で作ってもらうと、銀行や登記で戸籍の束の代わりに使えます。

もう少し前の段階の手続きは亡くなって1か月が過ぎた頃に始めたい相続の手続きにまとめています。抜けがないか照らし合わせてみてください。

放っておくほど困る、その先のこと

1年の時点ではまだ立て直せます。ただ、さらに年数がたつと困りごとが増えていきます。

1つ目は、相続人がさらに亡くなるケースです。話し合いに加わる人が増え、顔も知らない親族と協議することになりかねません。

2つ目は、遺産分割の「10年」の区切りです。2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました。原則として法定相続分で分けることになります。

3つ目は、相続した不動産を売る時の取得費加算の特例です。相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却が対象なので、相続税を納めた家は時期に気をつけましょう。

相続税がかかりそうな家、土地や実家がある家、相続人が多い家は、相続に詳しい税理士に全体を見てもらうと、何から手を付けるかがすぐ決まって楽です。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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税金の期限を過ぎた時の影響は相続税の申告期限を過ぎたら何が起きる?で詳しく紹介しています。

よくある質問

1年たっていても、相続放棄はできますか?

相続放棄の期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です。原則として1年後には放棄できません。後から多額の借金が見つかったなど事情がある時は、すぐに弁護士や司法書士に相談してみてください。

相続税がかからない家でも、何か手続きは必要ですか?

相続税の申告は要りませんが、預金の名義変更や、不動産があれば相続登記は必要です。相続登記には3年の期限があります。

遺産の分け方に期限はありますか?

遺産分割そのものに法律上の期限はありません。ただ、相続開始から10年を過ぎると特別受益や寄与分を主張できなくなるので、早めに話し合っておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 1年たつと、相続放棄・準確定申告・相続税の期限はすでに過ぎている
  • 相続税がかかる家、0円でも申告が要る家は、すぐに期限後申告の準備を
  • 相続登記は取得を知った日から3年以内。決まらない時は相続人申告登記
  • 預金は凍結されたままなので、必要なら仮払い制度を検討
  • 年数がたつほど相続人が増え、10年で特別受益・寄与分が主張できなくなる
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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